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2013/12/02

モンスター上司

監督:セス・ゴードン
出演:ジェイソン・ベイトマン/チャーリー・デイ/ジェイソン・サダイキス/ケヴィン・スペイシー/ジェニファー・アニストン/コリン・ファレル/ジェイミー・フォックス/ジュリー・ボーウェン/セリア・フィンケルスタイン/リンゼイ・スローン/P・J・バーン/ウェンデル・ピアース/ロン・ホワイト/ボブ・ニューハート/ドナルド・サザーランド/ブライアン・ジョージ(声の出演)

30点満点中17点=監3/話4/出4/芸3/技3

【あの上司さえいなければ……】
 昇進をちらつかせるハーケンから酷いパワハラに遭っているニック、色情狂の歯科医ジュリアからしつこく迫られているデイル、傲慢でヤク中のボビーが社長に就任したことで社の存続を危ぶむカート。いずれも会社を辞めるに辞められず、途方に暮れる3人の男たち。仕方なく、謎の犯罪コンサルタントMFの助言に従ってそれぞれの上司を亡き者にしようと無謀な計画を練るのだが、彼らの奮闘は思いも寄らぬ方向へと転がっていくのだった。
(2011年 アメリカ)

【助演陣の豪華さ】
 なんだ、この無駄に豪華なキャスティングは。ま、それが効いていることは事実だけれど。
 ケヴィン・スペイシーは、パワハラ上司を楽ぅに好演。なるほど他の役でも自信満々で居丈高だもんな。ピタリとハマる。
 いっぽうジェニファー・アニストンはイメージ一新ともいえるエロ女医を嬉々として演じる。MTVでBest On-Screen Dirtbag=ヤなヤツ賞を受賞したんだとか。ブレイクスルーになりそうだ。
 それ以上に凄まじいのがコリン・ファレル。誰これどっかで見たことあるような気がするけれどまさかね、というレベルの変貌っぷりだ。
 ジェイミー・フォックスのインチキ臭い犯罪者も可愛いし、ドナルド・サザーランドの“優しいボス”にも説得力がある。

 ぶっちゃけ主演3人には「押しの弱さ」を感じるし、多少ガチャガチャっと未整理な雰囲気でこの3人のシーンは進む。逆にいえば、それがリアル。もうどうしようもない状況に追い詰められてアタフタする“名もなき愚か者たち”の焦りがよく出ている。
 で、こういう3人だからアクの強い上司どもにヤられちゃうんだよな、というリアリティもあり、さらにいえば、主演3人の弱さを上述のスター馬鹿上司=サポート・ロールたちが補い、作品へと引き込むパワーを目一杯に放っている、という映画だ。

 ただ、主演の3人、愚かだけれど決定的にバカではないというバランスの取れた設定。たぶん世の中の「ツライ目に遭っているサラリーマン」の共感は得られるはず。先の予想はつきにくく、それだけにハラハラとさせ、けれどラストではピタっとまとめる展開の上手さもあって、なかなかに見せる。まぁ繰り返し状況を説明する頭の悪さはあるし非現実的でもあるけれど、コメディとしてよくできたお話だろう。

 ドカンという爆発力や凝った部分はないものの、内容や登場人物たちのバカっぽさを、ただバカに頼ったドタバタに貶めるのではなく、しっかり手堅くまとめてみせた印象の仕上がりだ。

●主なスタッフ
 撮影は『ブルークラッシュ』のデヴィッド・ヘニングス、編集は『ラブ・ダイアリーズ』などのピーター・テッシュナー。プロダクションデザインは『幸せになるための27のドレス』のシェパード・フランケル。
 音楽スーパーバイザーは『完全なる報復』などのダナ・サノ、サウンドエディターは『キッズ・オール・ライト』などのエルモ・ウェーバー。SFXは『ワールド・トレード・センター』などのジェレミー・ヘイズ、スタントは『ザ・タウン』などに携わったショーン・グラハム。

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