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2014/01/20

インモータルズ-神々の戦い-

監督:ターセム・シン・ダンドワール
出演:ヘンリー・カヴィル/スティーヴン・ドーフ/フリーダ・ピント/ルーク・エヴァンス/ジョセフ・モーガン/アン・デイ=ジョーンズ/グレッグ・ブリック/アラン・ヴァン・スプラング/ピーター・ステッビングス/ダニエル・シャーマン/イザベル・ルーカス/ケラン・ラッツ/スティーヴ・バイヤーズ/スティーヴン・マクハティ/マシュー・G・テイラー/ロマーノ・オルザリ/コリー・セヴィエール/ロバート・メイレット/マーク・マーゴリス/ゲイジ・ムンロ/ジョン・ハート/ミッキー・ローク

30点満点中16点=監3/話2/出3/芸4/技4

【人と人、人と神、神と神とが闘う】
 家族を亡くし、神の無慈悲を恨むようになったハイペリオン王は、ギリシアへと進軍。エピロスの弓を入手し、かつて神によって封印されたティターン族を解き放つことで天への復讐を企てているのだ。コルポスの農夫テセウスもその戦いに巻き込まれ、弓のありかを知る巫女パイドラと道行きをともにすることとなる。天界の危機にも人間を信じ静観を貫こうとする主神ゼウスが見守る中で、テセウスはティターンの眠るタルタロス山へと向かう。
(2011年 アメリカ)

【見せかたはさすがもキャラ立たず】
 まぁそれにしても神々は身勝手ですな。「人間を信じる」とかいいながら結局のところは自分たちの殺し合いと無関心の尻拭いをさせているわけで。それにもメゲず、望まれず生まれた子や盗人が世界を救うあたりが、本作に詰め込まれた“人がこの世に見出したい救い”なのかも知れん。不完全な存在にも希望があるんですよ、みたいな。
 ただし宗教的な内容ではなく、あくまで「波乱に満ちたファンタジーとしてのギリシア神話」を元ネタとして扱い(かなりの脚色)、活劇としてのドラマ性を狙ったような印象。

 それはいいとして、キャラの分散・確立が不十分
 肝心の主役テセウスからして“アイデンティティへの目覚め”がしっかり描けておらず、ただのマッチョ。敵雑魚キャラは似たようなのばっかだし、ギリシア軍の幹部も個性ゼロ、神々はぞろぞろ出てくるけれど誰が誰やら。「君はヘラクレス役です」といわれた役者、その時点ではけっこう喜んだんじゃないか。アテナ役のイザベル・ルーカスなんか美形なんだから、もうちょっと見せ場をあげてもいいだろう。テセウスの息子アカマスにも、聡明な雰囲気の子役が欲しかったところ。
 キャラが立ってるのって、シンプルに復讐に燃え、鍛えられた身体で肉弾戦を見せるミッキー・ロークくらいだ。

 が、見せかたとしては、さすがターセム。暗すぎて何だかわからん場面は多いし、全体の色合いが『300』に引きずられている感もあるけれど、様式美に満ちた撮影、数カットだけの場面でも疎かにされない美術、華やかな衣装、景色の中の空のバランス、息を飲むロケーションなどは、この人の真骨頂といえる。
 やられたヤツだけがスローになるっていうアクションが、特に秀逸。これカッコいいなぁ。天空のバトルの全方位への広がりかたも素晴らしい。
 見どころは、そのあたりだけか。

 あ、あと、競走馬の馬名もギリシア神話から取られたものが多く、その点で「競馬好きって神話も好きで、馴染みもあるよな」とか考えながら見ていたところ、馬が息絶えるまで走らされるなんてエピソードが出てきて、ちょっと責められているような気がしたり。

●主なスタッフ
 脚本のヴラス・パルラパニデスとチャーリー・パルラパニデスは、ハリウッド版『デスノート』も担当している模様。悲観。
 撮影は『エネミー・ライン』のブレンダン・ガルヴィン、編集は『幸せの1ページ』のスチュアート・レヴィ、『トロン:レガシー』のワイアット・ジョーンズ、『インサイダー』のデイヴィッド・ローゼンブルーム。
 プロダクションデザインは『ヴィレッジ』のトム・フォーデン、衣装デザインは監督の前作『落下の王国』の石岡瑛子。
 音楽は『ステルス』のトレヴァー・モリス、音楽スーパーバイザーは『ザ・ファイター』のハッピー・ウォルターズ、『きみがぼくを見つけた日』のボブ・ボーウェン。サウンドエディターは『エンバー』のポール・ティモシー・カーデン。
 SFXは『エスター』のライアル・コスグローヴ、VFXは『完全なる報復』のレイモンド・ギアリンジャーや『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のシャイレンドラ・スワーンカル。
 スタントは『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』のギャレット・ウォーレン、『フィリップ、きみを愛してる!』のアーティー・マレスキ、格闘デザインは『メッセージ そして、愛が残る』のジャン・フレネッテ。

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