カーズ2
監督:ジョン・ラセター/ブラッド・ルイス
声の出演:別掲
30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4
【レースカーは疾走し、スパイは闇に踊る!】
アクセルロッド卿が開発した新燃料「アリノール」を用いたレースが開催されることとなり、ピストンカップの覇者ライトニング・マックィーンをはじめ各国からチャンピオンが集結する。いっぽう“ペッパー”と呼ばれる欠陥車たちの不穏な動きを、英国の諜報部員フィン・マックミサイルが察知。その秘密作戦にマックィーンの親友メーターが巻き込まれる。メーターはレースに迫る危機を解決し、マックィーンとの友情を取り戻せるのか?
(2011年 アメリカ アニメ)
【子ども向けだが、期待以上ではある】
上手い続編に仕上げたな、というのが第一感。
すでに主要キャラクターの性格やポジションは前作で説明ずみ。そのあたりは端折ってどう世界を広げていくかが2作目の主要テーマになるわけだけれど、今回はメーターを主役に抜擢、思い切って新キャラクターも多数投入しただけでなく、なんとスパイものの要素を付け加えて『カーズ』=レースという概念を鮮やかに突破してみせた。
クルマが活躍する舞台ってなに? ボンドカーみたいな生かしかたがあるよね。じゃあスパイだ。その思考の飛躍発展が微笑ましい。
いやもうね、OPからしっかりしたスパイ・サスペンス。クルマであることとスパイらしい仕掛けを生かしたアクションも盛りだくさんで、ちょっとヌケた悪党や美女の登場はお約束、まぁ大人には誰が黒幕なのか読めちゃうんだけれど、世界スケールの陰謀が無理なく盛り込んであるなど意外とお話は練られていて、最後までスピーディに引っ張っていく。
もひとつ面白いのは日本の描写。賑やかなネオンサインにカプセルホテルに歌舞伎に相撲に最先端のトイレ。アメリカから見た日本そのものを臆面もなくドババと打ち出してくる。
パリの様子だって「日本人およびアメリカ人を含む非フランス人外国人から見て妥当なパリ」だろう。各国の様子がステロに描かれている、その潔さとわかりやすさに恐れ入る。
あと「友情より大切なケンカなんてない」っていうセリフも素敵だな。
ただ、スパイもの部分の展開・アクションの面白さに比べて、レース部分やマックィーンとメーターの絡みがちょっと退屈なのが難。マックィーンが爆発しなかったワケの説明や、メーターが黒幕を暴くシーンもちょっと乱暴で安直。全体として説明的なセリフも多くて、「やっぱり子ども向け」という印象も強い。
そのあたりを除けば、期待以上に楽しめる映画とはいえるだろう。
声の出演:ラリー・ザ・ケイブル・ガイ/オーウェン・ウィルソン/マイケル・ケイン/エミリー・モーティマー/エディ・イザード/ジョン・タートゥーロ/ブレント・マスバーガー/ジョー・マンテーニャ/トーマス・クレッチマン/ピーター・ジェイコブソン/ボニー・ハント/ダレル・ウォルトリップ/フランコ・ネロ/デヴィッド・ホッブス/パトリック・ウォーカー/トニー・シャルーブ/ジェフ・ガーリン/マイケル・ミシェルス/ジェイソン・アイザックス/ロイド・シャー/ブルース・キャンベル/テレサ・ギャラガー/ジェニファー・ルイス/スタンリー・タウンゼント/ヴェリボー・トピック/グイド・カローニ/ポール・ドゥーリイ/マイケル・ウォリス/チーチ・マリン/ジョン・ラッツェンバーガー/ヴァネッサ・レッドグレーヴ
吹き替え:山口智充/土田大/大塚芳忠/朴路美/落合弘治/宗矢樹頼/中村秀利/花輪英司/青山穣/津久井教生/戸田恵子/福澤朗/西村知道/森田順平/石田太郎/パンツェッタ・ジローラモ/小形満/後藤哲夫/根本泰彦/八奈見乗児/大川透/八木かおり/片岡富枝/間宮康弘/斉藤次郎/志村知幸/麦人/池田勝/樋浦勉/立木文彦/沢田敏子
●主なスタッフ
脚本はTVのカーアクション・ドラマなどで腕をふるってきたらしいベン・クイーン。それ以外はピクサー作品でおなじみの面々。
アニメーション・チームは『カールじいさんの空飛ぶ家』のショーン・クラウスとデイヴ・ムーリンズら。編集は『WALL・E』のスティーブン・シェーファー、プロダクションデザインは『モンスターズ・インク』のハーレイ・ジェサップ、音楽は『カールじいさんの空飛ぶ家』のマイケル・ジアッキノ、サウンドチームは『トイ・ストーリー3』のトム・マイヤーズとマイケル・シルバーズ、VFXは『レミーのおいしいレストラン』のアクーヴァ・シャー。
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