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2014/03/27

イリュージョニスト

監督:シルヴァン・ショメ
声の出演:ジャン=クロード・ドンダ/エイリー・ランキン/ダンカン・マクニール/レイモンド・マーンズ/ジェームズ・T・ミュア/トム・ウリエ/ポール・バンデイ

30点満点中17点=監3/話3/出3/芸4/技4

【ある手品師と少女の道行き】
 50年代の末。ホールからイベント会場、そしてバー、都会から田舎まで仕事のあるところならどこへでも渡り歩く初老の手品師タチショフ。腕はまずまずながらウケは芳しいものではなく、旅のお供は手品の種であるウサギ一匹だ。そんな彼を魔法使いだと信じてしまった少女アリス。バーミンガムで、ふたりのホテル暮らしが始まる。アリスを喜ばせようと、金を稼ぐべく本業以外の仕事にも精を出すタチショフだったが……。
(2010年 イギリス/フランス アニメ)

【ヴィジュアルと濃度】
 手描き感たっぷり(たぶん実写から描き起こしたものだろう)で水彩画のように素朴な美しさを持つ背景。
 その上で動くのは、ライブアクションをもとに作画されたような、けれどデフォルメも効いた人物たちと、CGによるクルマやモノ。
 不思議とミスマッチ感はなく、もったいぶった動作、奥行き感、カラーリング、「坂の途中に立つデパート」といった“絵になる風景”が一体となって、ひとつの独特世界が作り出されている。

 ストーリーは言葉の通じないタチショフとアリスの関係を上手く生かしてあって、セリフに頼らず、見せてわからせる方法論で流れていく。
 健気さやユーモアの裏にある、世知辛さ、明日をも知れぬ旅芸人の物悲しさ、人の不器用さを描くような内容で、電気やテレビや出逢いなど「魔法は日常の中にあふれている」といったテーマも感じられる。
 またタイトルが意味するのは、単に職業ではなく「幻影を見る人」としてのタチショフの生きざま・振る舞いだとも思えて、なかなかに奥が深い

 と、ヴィジュアル・イメージ的にもお話的にも良さの多い作品なのだが、ちょっと気に入らないのがレイアウト。舞台となる空間があって、その周囲に設置した固定カメラで1~3方向から撮る、という作りだ。レンズの種類も少ない感じがする。
 当時の雰囲気を出したり、ふたりの生活を「覗き見」するイメージを作るのには貢献しているものの、反面、やや単調で、映画ならではのダイナミズムは失われている

 もっとも、感情の揺れが大きな要素となる作品であり、それをアップや過度な芝居で示さず、ちょっと引いた位置から捉えることで観る者に想像を促す作用はあるかも知れない。

 絵本を読むような感覚で、絵本以上に1場面に“気持ち”の詰まったお話を楽しむ、といった作品だろうか。

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