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2014/04/09

塔の上のラプンツェル

監督:ネイサン・グレノ/バイロン・ハワード
声の出演:マンディ・ムーア/ザカリー・リーヴァイ/ドナ・マーフィ/ロン・パールマン/M・C・ゲイニー/ジェフリー・タンバー/ブラッド・ギャレット/ポール・F・トンプキンス/リチャード・キール/デラニー・ローズ・スタイン
吹き替え:中川翔子/小此木麻里/畠中洋/剣幸/飯島肇/佐山陽規/石原慎一/岡田誠/多田野曜平/諸星すみれ

30点満点中20点=監4/話4/出4/芸4/技4

【姿を消した姫、塔の上で夢見る光】
 ある国で生まれた、ひとりの姫。太陽から落ちた滴の力により、傷を癒し人を若返らせる不思議な金色の髪を彼女は持っていた。が、その力を独占しようとする老婆ゴーテルによって姫は連れ去られる。姫にラプンツェルと名付け自分の娘として育てるゴーテルと、閉じ込められている高い塔の窓から外界を夢見るラプンツェル。そこへ、王国からティアラを盗んだフリン・ライダーが衛兵に追われて迷い込む。姫と盗賊の運命は!?
(2010年 アメリカ アニメ)

★ネタバレを含みます★

【ディズニー姫様の最高ランク】
 ほとんど完璧に近いんじゃないだろうか。少なくとも「娘といっしょに観た父ちゃん」が十分に堪能できる仕上がり。

 描写面では、当然のようにラプンツェルの長ぁい金髪がキーとなって、確かに色艶も輝きもボリューム感も極上。でも、塗られた絵の具や石や芝や金属や水、すべてのものの質感が素晴らしくて、もう髪なんか霞んじゃうレベル。ライティングも、単に陰影豊かってだけでなく、“朝”とか“木陰”だということが感じられるほどの再現度。
 とりあえず髪さえクリアしておけばOKだよね、的な浅はかさがなく、しっかりと「温かみと肌合いを感じられる世界」を作ろうとする意識の高さがあふれている。

 特にね、人ですよ。ラプンツェルですよ。
 目の動きを中心とした表情の演技は、もはやディズニーにとっては手慣れたもの。さらに今回はキリっと結んだ唇や、わずかに見える前歯など口もともチャーミング。こまかな身体の“くねらせ”、肌や肉づきの感じ、二の腕の柔らかさまでが伝わってくるようで、ラプンツェルをね、「ぎゅっと抱きしめたい」と思わせるんですよ。
 だいたい、他社の3Dアニメって、どうしてこういうふうに人物のフォルム/プロポーションをナチュラルかつ柔らかに表現できない(関節の位置や挙動がヘン)のかな。それだけディズニーが先を行っているってことか。

 見せかた・演出も、ミュージカルらしい楽しさからアトラクション的なハラハラ感まで多彩。外界へ出たことを喜んだり悔んだりするラプンツェルの描きかたなど、展開やカット割りもスピーディ。
 クドクド説明せず、人物の芝居や展開で“見せていく”というベクトルが徹底されているのがいい。

 その点で重要な役割を担うのが、カメレオンのパスカル。このコが無言でラプンツェルとフリンの間に立ち、心の仲立ちをすることで「頭の悪いラブストーリーにならなくてすんでいる」と感じられる。
 大活躍のマキシマス、意外な働きを見せる悪党どもなど、全体にキャラクター配置が計算されていて、無駄も不足もない。

 で、クライマックス、アっと驚く展開。そうか、そういう解決策があったかと息を飲んだ。ここまで本作に欠けていた“切なさ”が、直情的だけれど思いやりにあふれた愛の表現行動が、胸に突き刺さる。
 その点を含め、ストーリーにおける“しっかり感”と意外性との両立にも優れている。

 今回は日本語吹き替え版で観たんだけれど、ラプンツェル役の中川翔子が良。さすがはディズニー、ただの客寄せではない起用(歌は小此木麻里)。ちゃんと「ディズニーのプリンセス」をまっとうし、ラプンツェルの可愛らしさをグっと引き上げてくれている。
 フリン役の畠中洋は、この役の軽さと純情さとを巧みに表現するし、ゴーテルの剣幸も、貫録のいやらしさ。

 唯一注文をつけたくなるのは、ラストの涙。この部分の展開のみ「ファンタジーだから」という甘えを感じる処理。もう少し別の(たとえば「髪によって治された傷にパワーが宿ることはないのか」という疑問を生かす)やりかたもあったんじゃないだろうか。

 その1点を除けば、ディズニー製プリンセス・ストーリーとしては最高ランクに位置する傑作だと思う。

●主なスタッフ
 監督は『ルイスと未来泥棒』の脚本を書いたネイサン・グレノおよび『ボルト』のバイロン・ハワード。脚本は『カーズ』のダン・フォーゲルマン。
 アニメーション・スーパーバイザーは『美女と野獣』などのグレン・キーン、編集は『ボルト』のティム・マーテンス。
 プロダクションデザインは『プリンセスと魔法のキス』のダグラス・ロジャース、音楽は『魔法にかけられて』のアラン・メンケン、サウンドエディターは『ターミネーター4』のキャメロン・フランクリー、VFXは『ルイスと未来泥棒』のスティーヴ・ゴールドバーグ。

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