ブレーキ
監督:ゲイブ・トーレス
出演:スティーヴン・ドーフ/カイラー・リー/JR・ボーン/ボビー・トンベリン/カリー・ロシャ/キング・オルバ/プルーイット・テイラー・ヴィンス/トム・ベレンジャー
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4
【閉じ込められた男。犯人の目的は?】
分厚いアクリル製の箱の中で目を覚ましたジェレミー。周囲は暗闇、見えるのはカウントダウンを続ける赤い数字だけ、身動きはほとんど取れない。どうやらクルマのトランクに押し込められているようだが……。ギャンブルで借りのあるモーガンの仕業か? が、すぐ近くに自分と同じように閉じ込められているヘンリーの存在を知り、さらには犯人から要求を突きつけられる。「ルーレットの場所を教えろ」。この事態の意味するものとは?
(2012年 アメリカ)
★ネタバレを含みます★
【真面目に作ってある】
ソリッド・シチュエーション・サバイバルにおける大きなキモは、なぜそういう状況に陥ってしまったか(または用意されたか)、という部分の説得力。このカテゴリーの草分けの1つである『CUBE』が「こんなもん、あり得ないに決まってるじゃん」と寓話的な解決でまとめちゃったもんだから後に続く者たちはタイヘンだね。同じことは許されず、ならばと本気でリアリティあるWHYを考え出さなくちゃならないわけで。
その点で誠実だったのは『[リミット]』。で、かなり似ている本作は、そりゃあ「犯人たち、肝心な部分をクリアにしてから事を起こせよ」といいたくなるし、ぶっちゃけ「オチとして考えられるのはこのあたりかな」「そこからさらにヒネる手もあるよな」と想像した通りになって浅さのある脚本なんだけれど、主人公ジェレミーの立場などもろもろを考え合わせると納得できない流れではなくて、まぁまぁ頑張っているとはいえるか。
閉鎖空間ながら出来事は多彩、それらに対するジェレミーの反応の妥当さや徐々に明らかとなっていく周辺状況という展開の良さもあって、多少の無理には目をつぶりたくなり、最初から最後まで面白く観られる。
また『[リミット]』と同様、カメラが外へ出て行かないのは映画として正しいありかた。カットを細かく割り、クルマを揺さぶったりジェレミーを悶絶させたり、この状況で唯一頼りになる“音”も操ったりしながら、ダイナミックに描き切る。
さすがに同種の作品の中でトップクラスかというとNOだけれど、しっかり真面目に作ってあるんじゃないだろうか。
●主なスタッフ
監督のゲイブ・トーレス、脚本のティモシー・マニオンともにTVの連続ミステリー系でキャリアを積んだ人らしい。
音楽は『世界侵略:ロサンゼルス決戦』のブライアン・タイラー、サウンドエディターは『トゥモロー・ワールド』のリチャード・ベッグス。
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