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2014/08/25

最高の人生のはじめ方

監督:ロブ・ライナー
出演:モーガン・フリーマン/ヴァージニア・マドセン/エマ・ファーマン/マデリーン・キャロル/ニコレット・ピエリーニ/キーナン・トンプソン/アッシュ・クリスチャン/デバーゴ・サンヤル/フレッド・ウィラード/ジェシカ・ヘクト/クリストファー・マッキャン/ルーカス・カレブ・ルーニー/ボイド・ホルブルック/ケヴィン・ポラック

30点満点中18点=監3/話4/出4/芸4/技3

【ひと夏の出来事】
 閑静な避暑地として知られるベル・アイル。犬のいる空き家を借り、ここでひと夏を過ごすため、車いすの老人=文学賞受賞経験もある西部劇作家モンテ・ワイルドホーンがやって来た。妻の死を契機に筆を折り酒浸りの彼だったが、隣人のシャーロットと、その3人の娘、想像力に富む次女フィン、両親の離婚を許せない長女ウィロウ、無邪気な末っ子フローラらと接するうち、モンテの中で何かが変わり始める。やがて夏は過ぎ行く……。
(2012年 アメリカ)

【優しい空気】
 ああ、いいなぁコレ。
 全っ然、特別じゃない。特別なことは起こらない。ただ人と人とが出会って、たがいに影響しあい、次の一歩を踏み出す、というだけの話。
 そんなフツーの話を、わかりやすく、野暮にならない程度のフツーさ加減で描いていく。

 ここにこの人のこういう表情が欲しいよな、というところでちゃんと挿入する的確さはある。いっぽうでカットのつなぎはかなり粗い。
 カントリー、ブルース、ベートーベンで、時にユーモラスに、時にロマンチックに画面を彩り、ここが美しくて静かで長閑で暮らしやすい場所だとわかる。けれど、舞台の範囲は狭い。
 推定予算4億円の小さい作品、大事件はない。都合がよすぎるし、登場人物それぞれの内面深くを掘り下げているわけでもないと思う。

 でも、素敵が詰まってる。「人と人とが出会って、たがいに影響しあい、次の一歩を踏み出す」ことじたい、すっごく特別なんだよってことを、声高じゃなく伝える優しい空気に満ちている。
「想像力とは、人類が持つもっとも強い力」
「1つのドアが閉まれば別のドアが開く」
 希望にあふれる言葉がいっぱい出てくる。

 モーガン・フリーマンはホントに力を抜いて、軽やか。「歩かなくていいんならギャラは10分の1でいい」「美女4人に囲まれる役なら、こっちからお願いしたいくらい」とか、そういう軽口を叩いて引き受けたんじゃないかな、と思わせる温かさ。
 次女フィン役エマ・ファーマンは、ナチュラルな表情で堂々と御大と渡り合っていて、今後確実に大きなプロジェクトに呼ばれるだろうな、と感じさせる存在感。長女ウィロウ役マデリーン・キャロルの、思春期らしい影と、いい意味での、周囲に対する曖昧な寛容さ。三女フローラ役のニコレット・ピエリーニちゃんも、役柄そのまんまの無邪気さで笑みを誘う(あのくしゃみって、絶対にアクシデント~アドリブだよな)。
 女の子たち3人も上々だ。

 なんてことのない話、なんてことのない映画なんだけれど、観ていてホっとする。いいなぁコレと思ってしまう。そんな作品。
 原題は『The Magic of Belle Isle』。担当者を小一時間問い詰めたくなる邦題より、シンプルでずっと素敵だ。

●主なスタッフ
 撮影は『フローズン・リバー』のリード・モラーノ。編集は『HOUSE』などのドリアン・ハリス。
 音楽マーク・シェイマンとサウンドのロン・ベンダーは『最高の人生の見つけ方』と同一。

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