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2014/12/11

アイアン・スカイ

監督:ティモ・ヴオレンソラ
出演:ユリア・ディーツェ/クリストファー・カービイ/ゲッツ・オットー/ウド・キア/ペータ・サージェント/ステファニー・ポール/ティロ・プリュックナー/マイケル・カレン/キム・ジャクソン

30点満点中17点=監3/話3/出3/芸4/技4

【月の裏側に潜んでいたナチス、決起す!】
 再選を目指す大統領は話題作りのため月の裏側へ宇宙飛行士ジェームズ・ワシントンを送り込む。そこでは、地球を逃れたナチスが巨大な都市を作って暮らし、地球征服の機をうかがいながら兵器を量産していた。ワシントンを伴って地球へ潜入する親衛隊隊長クラウス・アドラーとその婚約者レナーテ・リヒター。ところが彼らは大統領の再選キャンペーンに協力するハメになる。業を煮やした月面総統コーツフライシュは強硬手段に打って出る。
(2012年 フィンランド/ドイツ/オーストラリア)

★ややネタバレを含みます★

【おバカなだけじゃないおバカ映画】
 いやはや。「真面目に作った結果のおバカ」だと思っていたのだが、実際のところは「ハナっからおバカを目指したおバカ映画」だ。

 だいたい、設定からしてマトモじゃないよね。ナチスの残党が月にいたっていう基本コンセプトだけじゃなく、それを合衆国大統領選挙に絡めてしまったり、キーアイテムとしてチャップリンの『独裁者』やiPhoneを配したりするブットビぶり。『ウイングコマンダー』で遊んでいれば宇宙船だって操縦できちゃうんだぜ。
 宇宙飛行士は実はモデルだし、マッド・サイエンティストの娘や転覆を目論む軍人や選挙キャンペーンの広告担当者がキーパーソンになるといった無責任な人物配置。『スター・ウォーズ』『スター・トレック』もパロディにしてしまう(USS・ジョージ・W・ブッシュって)。

 倒錯したような美術も素敵。月面を走るワーゲン、親衛隊の扮装そのままの宇宙服。ギアとクランクで動く「神々の黄昏」号なんか、スチーム・パンクのはるか斜め上をいくデザインだ。
 音楽も、ワーグナーや合衆国国家を大胆にアレンジし、ヒップホップからジャズまでバラエティに富んでいて楽しいし、無駄に豪華でクオリティの高いCGにも痺れる。
 キャストではユリア・ディーツェの親しみやすい美貌が、いい。

 で、そんな中にチラホラと、現代文明への風刺を盛り込む。エネルギー問題に人種差別。先端デバイスに人々が踊らされることへの皮肉。わがままにふるまう主要国家(北朝鮮が各国から笑われているってのも秀逸)。

 だから正確には「ハナっからおバカを目指しつつ、実は現代人のあさましさをバカにする、でもやっぱりおバカ映画」
 ハチャメチャなストーリーもドタバタなノリもコント番組の中の1コーナーっぽいんだけれど、それを技術とやる気とセンスでちゃんと1本のおバカ映画に仕上げてしまったという、怪作である。

●主なスタッフ
脚本/マイケル・カレスニコ『舞台よりすてきな生活』
衣装/ジェイク・コリアー『スノーホワイト』
音楽/レイバック『スパイダーマン』
スタント/マルク・シーゲル『三銃士/王妃の首飾り……』
スタント/ダルコ・タスカン『ナルニア国物語/第3章』

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