« キラー・エリート | トップページ | わたしの100本 2014年版 »

2014/12/30

ザ・バッド

監督:ピート・ヒューイット
出演:クリストファー・ウォーケン/ウィリアム・H・メイシー/マーシャ・ゲイ・ハーデン/フィリップ・ドーン・ハーバート/バベシ・パテル/トッド・ウィークス/ジョセフ・マッケンナ/ウィン・エヴァレット/ブレッキン・メイヤー/モーガン・フリーマン

30点満点中17点=監3/話3/出4/芸4/技3

【大好きなあの絵を盗め】
 ロジャーは美術館の警備員。妻のローズは口やかましいけれど、海辺に立つ女性を描いた『孤独な少女』を職場で見つめていれば幸せだ。が、何よりのお気に入りであるこの絵がデンマークへ送られると知った彼は、同じく大好きな絵や彫刻と離れたくない警備員仲間のチャーリー、ジョージとともに計画を練る。展示品の輸送に乗じて、それぞれの“宝物”を盗んでしまおうというのだ。アクシデントの中、3人のプランは成功するのか?
(2009年 アメリカ)

★ややネタバレを含みます★

【ニコニコハラハラの小品】
 監督や脚本はB級コメディ中心の人たちみたい。本作も、小っちゃくて、ちょっと安くて、古めでベタな作り。でも、意外とイケている

 フロリダ旅行のための貯金とか、奥さんの足をマッサージする日課(日課に間違いないだろう)、わざわざベレー帽をかぶって美術書を読む姿など、主人公ロジャーの小市民っぷりが丁寧に描かれていて楽しい。
 夫婦のアパートには“日常”が満ちていて、職場には“夢と妄想”が詰まっていて、っていう対比がいい(そしてそれがラストに効いてくる)。

 そのロジャーを演じたクリストファー・ウォーケンと、相棒チャーリー役のモーガン・フリーマンは、いつもよりちょっと年寄り臭くて、いつもよりかなり小物っぽさが出ていて、やっぱ上手いよなぁと感心。その間で空回りするウィリアム・H・メイシーも愉快だ。

 画角のバリエーションが少なかったりセットや色合いが安っぽかったりもするのだけれど、微速度撮影にジャンプカットに画面分割にミニチュアを使ったストップモーションアニメと、多彩な見せかたでテンポは上々。
 わかっちゃいるけれどのアクシデント、トボケた間、「ひょっとして同じことがずっと繰り返されてる?」なんて感じちゃうオチなど、ストーリーの進めかたも申し分ない。
 そして、犯罪といえばジャズとネコが似合うのだ。

 キーとなる『The Lonly Maiden(孤独な少女)』と作者マルセル・ド・ロベールは架空、本作のために用意されたものである模様。
 この絵が実際に素敵で、生かしかたも素晴らしくって、「愚かだけれど一途な男たちのマヌケな犯罪コメディ」を、一転、愛の物語へと持って行ってしまう構成にも痺れる

 ほんとに小っちゃくって、オンリーワンでもナンバーワンでもない作品なのだが、その小ささと野暮ったさゆえ逆に、肩ひじ張らずニコニコハラハラしながら観られる佳作である。

●主なスタッフ
撮影/ウエリ・スタイガー『紀元前1万年』
編集/キャロル・クラベッツ・アイカニアン『ハンティング・パーティ』
美術/クリス・ループ(『フル・モンティ』
衣装/ハ・ヌウィン『SUPER 8/スーパーエイト』
音楽/ルパート・グレグソン=ウィリアムズ『ベッドタイム・ストーリー』
SFX/ケン・ゴーレル『クレイジーズ』
スタント/ブランコ・ラッキ『グレイ・ガーデンズ 追憶の館』

|

« キラー・エリート | トップページ | わたしの100本 2014年版 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42478/60890184

この記事へのトラックバック一覧です: ザ・バッド:

« キラー・エリート | トップページ | わたしの100本 2014年版 »