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2015/02/10

幸せへのキセキ

監督:キャメロン・クロウ
出演:マット・デイモン/スカーレット・ヨハンソン/トーマス・ヘイデン・チャーチ/コリン・フォード/マギー・エリザベス・ジョーンズ/アンガス・マクファーデン/エル・ファニング/パトリック・フュジット/ジョン・マイケル・ヒギンズ/カーラ・ギャロ/J・B・スムーヴ/ステファニー・ショスタク/マイケル・ペインズ/キム・ホイットリー/トッド・スタントン

30点満点中19点=監4/話3/出4/芸4/技4

【家族と動物園の再生に向けて】
 突撃コラムニストのベンジャミン・ミー。危険な現場へ自ら飛び込んでリポートする冒険家だが、半年前に妻キャサリンを喪って以来、長男ディランや幼いロージーの世話に手を焼いていた。心機一転を図るべく彼が郊外に買ったのは「併設されている動物園も引き取ること」という条件付きの家。ケリーら数少ない飼育員たちと動物園の再開を目指すベンジャミンの前には、尽きる資金、老いたタイガー、ディランの反抗など問題は山積みだった。
(2011年 アメリカ)

★ネタバレを含みます★

【軽いけれど染み入ってくる】
 マット・デイモンはいつもとあまり変わらない(演じられる役柄に幅があるのは確か)ものの、このスカーレット・ヨハンソンはいいなぁ。ちゃんと“働く女性”に見える。
 トーマス・ヘイデン・チャーチがこんなにカッコイイ(無責任で口やかましいけれど頼れる兄貴ってキャラクターは『スプラッシュ』のジョン・キャンディを観て以来の私的ツボ)とは思わなかったし、コリン・フォード君はわかりやすい子役芝居で悩めるディランを好演。リリー役のエル・ファニング、いつの間にか可愛くなっちゃって。田舎の純粋なコが、しっかり似合っている。
 そしてマギー・エリザベス・ジョーンズちゃん。上手いなぁ。この年でもう“女優”だもんなぁ。ほんとハリウッドって、このレベルの女の子が簡単にポンっと出てくるところが、ヤだよねぇ。

 このキャストだけでも観る価値があるのだけれど、作りとしても手堅い。動物園の経営という馴染の薄い題材だけにやや説明的になってしまうのは仕方ないとして、野暮になるのを最小限に抑え、読み取らせたり、テンポよく進めたりといった流れを重視。
 娘ロージーに妻の面影を重ねているであろうベンジャミン、けれどライオンに象徴される苦難、適度な強度と分量で配置されるアクシデントとクスクス笑い……。上手に緩急をつけ、上手に盛り上げていく。音楽やロケーションも上質だ。

 ハっとさせられたのは、ベンジャミンが亡き妻を回想するところ。目の前で想い出がリプレイされる暖かさと哀しさがいい。また、観る者に写真だと思わせる(ミスリード)モノクロのキャサリンが不意に動くカットが、映画的な仕掛けとして素晴らしい。
 開園認可を受ける場面の逆光は、わかっているし、安っぽくもあるんだけれど、やっぱ感動させられる。

 ストーリー的にはありがちな家族再生モノながら、散りばめられたセリフやキーワードは気が利いている。
「正しい行動は誰にも邪魔できない」
「20秒の恥をかく覚悟があれば、素晴らしい可能性が広がる」
「幸せってにぎやか」

 とりわけ“無茶だけれど楽しそうな選択”へ進む理由として用意されている「Why not?」は、物語の要であり、誰かが誰かに影響を及ぼして生きかたまで変えてしまうという本作の裏テーマを体現するものでもあり、ああこんなふうに突き進めればいいなと感じさせる優れた価値観でもあって、心に残るひとことだ。

 ベンジャミンとケリーのラブロマンスと、終盤のディランの物分かりの良さは、ハリウッドらしい蛇足とご都合主義。それを除けば全体によくできている、軽いけれど染み入ってくるタイプの感動作である。

●主なスタッフ
脚本/アライン・ブロッシュ・マッケンナ『恋とニュースのつくり方』
脚本/キャメロン・クロウ『エリザベスタウン』
撮影/ロドリゴ・プリエト『ウォール・ストリート』
編集/マーク・リヴォルシー『しあわせの隠れ場所』
美術/クレイ・A・グリフィス『ラッキー・ユー』
衣装/デボラ・リン・スコット『トランスフォーマー』シリーズ
音楽/ヨンシー『127時間』
音響/ミルドレッド・イアタロ『猿の惑星:創世記』
音響/アイ・リン・リー『スノーホワイト』
SFX/バート・ダルトン『バトルシップ』
VFX/ポール・グラフ『モンスター上司』
スタント/トーマス・ロビンソン・ハーパー『カウボーイ&エイリアン』

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