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2015/03/26

幸せの教室

監督:トム・ハンクス
出演:トム・ハンクス/ジュリア・ロバーツ/ググ・バサ=ロー/セドリック・ジ・エンターテイナー/タラジ・P・ヘンソン/ウィルマー・バルデラマ/カーリー・リーヴス/ラミ・マレック/マルコム・バレット/グレイス・ガマー/マリア・カナルス=バレッラ/A・B・フォファナ/サラ・レヴィ/ジュリア・チョ/チャド・W・スマザース/ディヴィッド・L・マーフィー/デイル・ダイ/リタ・ウィルソン/ブライアン・クランストン/ジョージ・タケイ/パム・グリア/ロブ・リッグル/ホームズ・オズボーン

30点満点中17点=監4/話3/出4/芸3/技3

【リストラに遭った男、大学に通う】
 スーパーマーケットで働くラリー・クラウン。何度も優秀社員として表彰された彼だったが、「大学を出ていない」ことを理由に突然解雇を言い渡される。不況ゆえ次の職は見つからず、手もとには莫大なローン。事態の打開を図ろうと、ラリーは短大へ。スピーチの授業を受け持つテイノー先生やクラスメイト、人懐っこいスクーター仲間のタリア、小難しい経済の講義、通学とコックとの掛け持ち……。遅れてやって来た学生生活が始まった。
(2011年 アメリカ)

【掘り下げ不足だが空気感は悪くない】
 評判は高くないんだろうな、ということがわかる内容。だって、人物は掘り下げられないし、下手を打たない代わりに凝ることもないストーリー、偶然に助けられながら都合よく進む展開。いつの間にか恋心を芽生えさせちゃったりして、要は、前時代的なラブコメだ。
 でも、そんな“なんてことのないラブコメ”にこそ、人生の真理が詰まっているんじゃないだろうか、とも思えてくる。

 散らされたセリフや主張が楽しい。「女が男を変える」。ポロシャツ着用を禁止されるおじさん。英語でも貧乳のことを洗濯板(Washboard)っていうんだ、なんて発見もあったり。妙ちくりんなタトゥーって、アメリカではあちこちにあってバカにされたりしてるんだろうな。

 そんな何気ない日常を、お芝居メインで撮っていく。わかりやすい表情の変化で心情を描くあたりは、役者監督トム・ハンクスらしい仕事。でもやりすぎ感は少なく、軽快なテンポも大切にしている印象。

 もう1つ、“対等”ということも意識しているように感じる。若者に混じった中年男って明らかに異分子なんだけれど、それをあからさまな異分子モノに仕立てることはせず、あくまでも「いっしょに学んだり楽しんだりする仲間」という空気を作ることに徹している。
 うん、そういうもんだよね。学ぶことも遊ぶことも。ラリーを特別な存在にしてドラマティック&キャッチーに仕上げることより、本当の意味での学ぶ楽しさ・遊ぶ楽しさ、なんてことのない付き合いの中で、個々の価値観や人となりを理解し、関係を築いていく、という、ある種のリアリティを重視している感じだ。

 ま、それでも掘り下げ不足なのは否めないのだが、年を取ってもこういうふうに肩ひじ張らず、学べたり遊べたりできれば素敵だな、とは思わせてくれるのである。
 あと、グーグーちゃん可愛いし。『TOUCH』とは異なるこういう明るい役柄も似合ってるなぁ。

●主なスタッフ
撮影/フィリップ・ルースロ『シャーロック・ホームズ』
編集/アラン・コディ『ザ・パシフィック』
美術/ヴィクター・ケンプスター『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』
衣装/アルバート・ウォルスキー『デュプリシティ』
音楽/ジェームズ・ニュートン・ハワード『ハンガー・ゲーム』
音響/アンドリュー・デクリストファロ『クレイジー・ハート』

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