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2015/05/28

ハングリー・ラビット

監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:ニコラス・ケイジ/ジャニュアリー・ジョーンズ/ガイ・ピアース/ハロルド・ペリノー/ジェニファー・カーペンター/アイロニ・シングルトン/ウェイン・ペア/マーカス・ライル・ブラウン/ジョー・クレスト/デメトリウス・ブリッジス/ジェイソン・デイヴィス/マイク・プニュースキー/デイヴィッド・ジェンセン/ザンダー・バークレイ

30点満点中17点=監4/話3/出4/芸3/技3

【そこに正義はあるのか】
 ルイジアナ州ニューオリンズ。高校の国語教師ウィル・ジェラードとその妻で音楽家のローラは仲睦まじく暮らしていた。だがある夜、ローラが何者かに襲われ病院に担ぎ込まれる。ウィルに近づいてきた謎の男サイモンによれば、犯人は常習的性犯罪者であり、たとえ裁判になっても軽微な罪で済んでしまうという。市民による正義を掲げるサイモンらの組織は、犯人に大きな罰を与える代わりにウィルにも協力を求め、彼は承諾するのだが……。
(2012年 アメリカ)

【小っちゃくカッチリまとめました】
 振り返れば、『世界最速のインディアン』ではふわふわとした不思議な肌あいを感じさせ、『バンク・ジョブ』では70年代風の古めかしさも交えながらスリリングな疾走感を創出してみせたロジャー・ドナルドソン監督。内容・脚本に応じて作風を変えられる職人技が強みなのだろう。

 今回も、画面をナナメに切り取ったりフラッシュバックを効果的に使ったりで安定したサスペンス、かなり小っちゃい(ハッキリいってTVサイズでスケール感はゼロ)けれどクルマを惜しみなくブっ壊すなど必要なところには必要なだけのパワーを割いて決して安っぽくはせず、手堅くまとめ切っている印象だ。
 IMDbによると推定予算は1700万ドル。舞台は狭い町。その範囲内でしっかり作られている。

 ウィルの国語教師という職、冒頭のホテルのシーン、キャラクター配置など多くの要素について、ムダも余分もなく使い切っている点がいい。もちろん基本的な設定に無理がある(どこかで破綻するのは目に見えている)ことは確かだし、ご都合主義的な展開も見えるけれど、適度に予想外、適度に納得感はあり、「個人で貫く正義とは何か」を考えさせる空気もあって、お話のパッケージングは悪くない。

 ニコラス・ケイジは本作と『ゴーストライダー』の合わせ技でラジー賞にノミネートされたけれど、あっちもこっちもいうほど悪くない。歩き姿とか慌てふためきっぷりにわかりやす~く小市民ぽさを漂わせている。

 惜しむらくは、ムダも余分もない代わりにプラスアルファも鋭角的な驚きもないところ。とりわけクライマックスは、ヒネリもなく単純で、馬鹿アクションとまではいわないものの、カタルシスには欠ける。

 まぁそれでも全体として見れば、ヒッチコック以来の伝統的巻き込まれ型サスペンスを、優等生的にカッチリと仕上げてあるように感じる。
 ちなみにニューオリンズは、もともと治安の悪い町だったらしいが、ハリケーン・カトリーナ以来さらにドツボへとハマり、警官のレベルも低下して大量採用に踏み切ったという流れがあるらしい。そのあたりの事情や全米規模の性犯罪者データベースに対する世論といった予備知識を持って見れば、より考えさせられる内容かも知れない。

●主なスタッフ
撮影/デヴィッド・タッターサル『地球が静止する日』
編集/ジェイ・キャシディ『世界にひとつのプレイブック』
美術/J・デニス・ワシントン『シャッフル』
衣装/キャロライン・エセリン『Ray』
音楽/J・ピーター・ロビンソン『バンク・ジョブ』
音楽監修/ジョン・ホーリハン『ジュリエットからの手紙』
音響/ポール・ティモシー・カーデン『インモータルズ』
SFX/エドワール・ユベール『エクスペンダブルズ』
スタント/アンディ・チェン『ニュー・ワールド』

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