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2015/05/12

アメイジング・スパイダーマン

監督:マーク・ウェブ
出演:アンドリュー・ガーフィールド/エマ・ストーン/リス・エヴァンス/デニス・リアリー/イルファン・カーン/キャンベル・スコット/エンベス・ダーヴィッツ/クリス・ジルカ/C・トーマス・ハウエル/マックス・チャールズ/ジェイク・キーファー/マーティン・シーン/サリー・フィールド

30点満点中17点=監4/話3/出3/芸4/技3

【クモの力を身につけた高校生】
 幼い頃から伯父夫婦に育てられ、いまは科学系の高校に通うピーター・パーカーは、級友グウェンにほのかな想いを寄せる平凡な若者だ。消息不明の父がカート・コナーズ博士とともに異種間遺伝子交配について研究していたことを知ったピーターは、オズコープ社に博士を訪ねる。遺伝子操作されたクモに噛まれたことで超人的な能力を身につけるパーカー。また父が遺した数式を博士に教えたことで、研究は飛躍的に進むのだが……。
(2012年 アメリカ)

【現時点では作り直した意味には乏しいが】
 サム・ライミ&トビー・マグワイア版の『スパイダーマン』から、わずか10年でのリメイク。なんか大人の事情的なものも感じ取ってしまうわけだが、デキとしては、そんなに悪くない

 流れのよさは、まずまず。メガネやピーターの科学好きという設定を無駄にせず、コナーズ博士が抱く右手への焦がれる想いも盛り込み、かといって説明しすぎることなくスンナリと進んでいく。とりわけピーターが超人的なフィジカルと特異体質を手にしたあたりの描写が軽快で秀逸だ。

 印象深いのは、スパイダーマンに息子を助けてもらったクレーン作業員が仲間に呼びかけて、こんどはスパイダーマンを助ける側に回るところ。ビルに掲げられているのは巨大な星条旗。おそらくは3・11以降、彼の国に根づくこととなった「人を助ける力を持つものの責任」という、本作のテーマの1つに結びつく場面として光っている。

 まぁグウェンの恩師がコナーズで父が警官とか、いじめっ子フラッシュがフェードアウトしちゃうとか、都合がよすぎる点やしっかり回収されていない部分もあるし、今回の事件の発端が自分にあるのではというピーターの葛藤も少なくて、浅さを感じさせるのも確かだけれど。

 キャストとしては、アンドリュー・ガーフィールド(フードを被っていると、まんま『BOY A』だな)もエマ・ストーンも好きだし作品世界に合っているし、C・トーマス・ハウエルとかマーティン・シーンとかサリー・フィールドとか脇は豪華。前作を観た者にとってもさほど違和感はなく、満足できるレベルだろう。

 で、やっぱりその前作、ライミ版との比較に曝されるのは仕方のないところであるわけだが、たぶん目指したのは“まんがチックからの脱却”じゃないかと思う。
 デートムービーとしてのライトな雰囲気、ライミらしいダークさとかマイナーさ、「びゅんびゅんしていればいいよね」という開き直り、トータルでいえば“マンガなりの説得力”を目指した前作と比べて、もう少しストレートに、現実に近いポジションで作りましたよ、というイメージだ。

 フルCGのスパイダーマンをなるべく減らし、ライブアクションを重視、色調としてもデジタル臭さを排してあるのが象徴的。
 そのぶん、派手なアクションVFXのボリューム的な物足りなさは残り、夜や下水道など暗い場面が対決の中心となっていて平板なのだが、POVを頻繁に取り入れてアトラクション的に見せる工夫はあるし、モーションキーとか金のかかったセットも説得力あり。
 そうした作りゆえに全体としてウソっぽさというか「スタジオの中だけで作りました」感が薄れ、なんとか等身大のピーターを感じ取ってもらおうという意図がうかがえて、方向性としては正解だと思う。

 ただ、そうやって真っ当に作られているだけに目新しさはない。リュージュから持ってきたコスチュームとか、自作する糸放出機といったディテールでは新しいアイディアも見えるものの、「結局は噛まれるんかいっ」と思わせる展開、要は青春活劇でしかない味わいなど、ライミ版との決定的な違いを生み出すには至っていないように感じられる。
 だから、わざわざ作り直した意味となると、どうなんだろ。

 でも、この真面目で、監督の前作『(500)日のサマー』にも通ずる内省的な空気は嫌いじゃない。
 前シリーズは「青春モノとコメディとアクションとを上手く融合させ、きっちりとした構成でまとめた好作品。でもドラマティックではなく、キャラクター設定とその描き込みが不安定」だったけれど、今後、本シリーズが、そのあたりを埋めて“真面目なスパイダーマン”を見せてくれるなら、こっちを支持したいと思う。

 続編のヴィランはジェイミー・フォックスにポール・ジアマッティ、キーとなる人物=ノーマン・オズボーンがクリス・クーパーと、演技派をズラリ揃えているところにも、前シリーズとは異なる方向性を感じて期待したくなるのである。

●主なスタッフ
脚本/ジェームズ・ヴァンダービルト『ゾディアック』
脚本/アルヴィン・サージェント『スパイダーマン3』
脚本/スティーヴ・クローヴス『ハリー・ポッターと死の秘宝』
撮影/ジョン・シュワルツマン『最高の人生の見つけ方』
編集/アラン・エドワード・ベル『(500)日のサマー』
編集/マイケル・マカスカー『ナイト&デイ』
編集/ピエトロ・スカリア『ロビン・フッド』
美術/J・マイケル・リヴァ『アイアンマン2』
衣装/キム・バレット『クラウドアトラス』
音楽/ジェームズ・ホーナー『ダイアナの選択』
音響/シャノン・ミルズ『生命(いのち)の泉』
音響/アディソン・ティーグ『トロン:レガシー』
SFX/ジョン・フレイジャー『ダークサイド・ムーン』
VFX/ジェローム・チェン『ベオウルフ』
VFX/ジム・リジェル『ナルニア国物語/第3章』
VFX/ジャレッド・サンドリュー『ヒューゴの不思議な発明』
スタント/アンディ・アームストロング
スタント/ジェームズ・アームストロング
格闘/ゲイリー・レイ・スターンズ 以上『マイティ・ソー』

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