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2015/06/01

プロメテウス

監督:リドリー・スコット
出演:ノオミ・ラパス/マイケル・ファスベンダー/シャーリーズ・セロン/イドリス・エルバ/ガイ・ピアース/ローガン・マーシャル=グリーン/ショーン・ハリス/レイフ・スポール/イーモン・エリオット/ベネディクト・ウォン/ケイト・ディッキー/イアン・ホワイト/ルーシー・ハッチンソン/パトリック・ウィルソン

30点満点中16点=監3/話2/出3/芸4/技4

【呼びかけに応えて、この星へ来た】
 世界各地で発見された年代の異なる壁画。だがそのすべてに「遠い星へと招く巨人」の絵が描かれていた。彼らは人間の創造主なのか? ウェイランド社の宇宙船プロメテウス号に乗り込み、目的地である星へと向かう科学者のエリザベスやチャーリー、計画の責任者ヴィッカーズ、アンドロイドのデヴィッドら。旅の先には人類誕生の秘密が隠されているとの期待があったのだが、空洞となったピラミッドには想像を上回る危険と企みが潜んでいた。
(2012年 アメリカ/イギリス)

★ややネタバレを含みます★

【ごちゃっとして、不完全燃焼感が残る】
 あんまり叩きたくはないんだけれど、耳(セリフ)と目(字幕)が一致しないなぁと思ったら、やっぱアノ人なんだよね。そこは翻訳センスの違いといわれれればそうかも知んないのだが、コノ人だとSFがSFでなくなっちゃう(各種の科学的・未来的言い回しに頭の悪さが出るというか、キレがなくなる)のは問題ではないかと。

 いや、本作の場合はハナっからSFマインドの欠如が見られる。いくら大気組成が地球以上に快適だからといって、ウィルスなどの検査なしにヘルメットを脱いじゃうのってどうよ。
 いともたやすく大気圏に突入したり脱出したり。重力に関する描写もないし、二酸化ケイ素の嵐に巻き込まれてバイザーが破壊されたのに生きていたり、スペーススーツが簡単に燃えたり、腹を縫ったばかりの患者が走り回ったり。助かりたいはずのヴィッカーズがポッドで脱出って……。
 SFマインド以前の問題ともいえる雑な描写が目に余る。

 ストーリー展開も雑。エリザベスや船長のモチベーション、デヴィッドの使命、黒い液体の正体など、いろんなことが曖昧のまま進む。ミステリアスな空気を保つことだけに気を遣っていて、全体的な“流れ”や「AがあるからBがある」という因果関係がないがしろにされている感じ。
 チャーリーがウェイランド社の利益を害する人間であるかのような匂わせや、デヴィッドが他のメンバーよりこの星に関して深く知っている(または推理を進めている)ことのエクスキューズ、船長がこの星の真実について推理するあたりは、もうちょっと丁寧に描いてもよかったんじゃないか。
 冒頭の巨人の行動の意味だって、wikipediaを読んではじめて「ああなるほど」と納得できた次第。

 そういった置いてけぼり感は、ストーリーだけでなく演出にも表れていると感じる。常に二極~三極で出来事を並行して描写する作劇には確かに緊迫感があるけれど、前述の通り全体に未整理な流れだからスッキリ感に欠く。スケールが大きそうに見えて実は、無機質な船内と暗い遺跡の中でのシーンに終始して、ごちゃごちゃっとしたイメージも強い。
 1st『エイリアン』を模した画面作りは楽しいものの、そればっかりに囚われてしまったようにも思える。

 役者・キャラクターも個性不足でリプリーやアッシュ、ビショップ以上の存在にはなりえず、ガイ・ピアースも誰だっていい役だろう。
 個々のパーツで褒められるとしたら、船内のたたずまい、ロケーション、ディスプレイ上のグラフィック、クリエイターの先端技術ガジェットといった美術面と、安定感あるSFX/VFX、品のある撮影くらいか。

 ただ、長年積み上げられてきた人気シリーズだけに、世界観の奥深さや広がりへの可能性は感じられる。
 監督からは否定する言葉も出ているようだけれど、明らかに1stの前日譚として機能しており、と同時にエリザベスの今後、あるいは「神(クリエイター)が人を創り、人がアンドロイドを創る」という流れの先にあるものをテーマとして扱う発展性(続編の製作はアナウンスされている。エンディングがショパンのプレリュードなんだから、まだまだ続かなきゃおかしいだろう)にも期待できそうだ。
 またオリジナルの原案者であるダン・オバノンとロナルド・シャセット、H・R・ギーガーによるエイリアンをはじめとしたデザインワークの偉大さを再認識できる作品でもある。

 が、単独で観た場合の、物足りなさ感、(観る側の)不完全燃焼感は否めない

●主なスタッフ
脚本/デイモン・リンデロフ『カウボーイ&エイリアン』
撮影/ダリウス・ウォルスキー『アリス・イン・ワンダーランド』
編集/ピエトロ・スカリア『キック・アス』
美術/アーサー・マックス『ロビン・フッド』
衣装/ジャンティ・イェーツ『ワールド・オブ・ライズ』
音楽/マルク・ストライテンフェルト『アメリカン・ギャングスター』
音響/ビクター・レイ・エニス『ドライヴ』
音響/マーク・P・ストーキンガー『アンストッパブル』
SFX/エッガート・ケティルソン『オブリビオン』
VFX/リチャード・スタマーズ『天使と悪魔』
スタント/ロブ・インチ『戦火の馬』

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