ヴァルハラ・ライジング
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:マッツ・ミケルセン/マールテン・スティーヴンソン/アレクサンダー・モートン/ステュワート・ポーター/ゲイリー・ルイス/ジェイミー・シーヴェス
30点満点中15点=監4/話1/出3/芸4/技3
【自由を得た奴隷、彼方を目指す】
キリスト教軍の遠征に蹂躙され、異教徒である弱小部族は僻地へと追われた時代。霧と風に閉ざされた北の地では、囚われの奴隷たちが賭けの対象として闘いを繰り返していた。もう何年も勝ち続けている片目の男は、隙を見て逃げ出すことに成功、彼の世話役だった少年とともに放浪の身となる。やがてクリスチャン・バイキングの一団と出会った男=ワン・アイと少年アーは、彼らとともに聖地エルサレムを目指すことになるのだが。
(2009年 デンマーク/イギリス)
【ゆったり、殺伐、退屈】
アンダー気味に捉えられた湿り気のある世界。場面はたびたび絵画的に切り取られ、かと思えば一気に血しぶきが飛び散る。
喋らぬ主人公を中心に置いてセリフは削られ、代わって周囲の狂言回したちが“語り”ともいえる言葉を吐く。同録っぽい音に重ねられるのは、低音が分厚く揺らぎ感の強いエレクトリカルなBGMだ。
こうして独特の、ゆったりとした、殺伐とした、やや退屈な、時間と空間とが作られる。
北欧神話が基調となっているらしく、その知識があれば理解・推察もある程度は進むそうだけれど、でなければ観念的で哲学的で難解。
というよりも、ある意味で「たいして内容はない」とも取れる。オモワセブリック的フラッシュバックで、ワン・アイが“地獄としてのこの世”を見ているさまが挿入され、不可思議感と不条理感を増しているものの、トータルでは「逃げ出した奴隷とプチ十字軍が一緒に旅をするが、道に迷うわ先住民に襲われるわで仲たがい」ってだけの話だ。
バイオレンス部分のスピードと重みと苦しさは流石、マッツ・ミケルセンの肉感的たたずまいも見ごたえがあるけれど、それ以上の楽しさを見出しにくい作品。
●主なスタッフ
編集/マシュー・ニューマン『ドライヴ』
SFX/マイク・ケルト『ホット・ファズ』
スタント/トニー・ラッケン『鉄の女の涙』
スタント/ジュリアン・スペンサー『マリリン 7日間の恋』
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