パーフェクト・プラン 完全なる犯罪計画
監督:ジル・スプレカー
出演:グレッグ・キニア/デヴィッド・ハーバー/ビリー・クラダップ/リー・トンプソン/ミシェル・アーサー/ピーター・トムケ/ジェニファー・エドワーズ=ヒューズ/ボブ・バラバン/アラン・アーキン
30点満点中16点=監3/話2/出4/芸4/技3
【愚かな保険セールスマンの犯罪】
家財保険を中心に売る保険セールスマンのミッキーは、妻に追い出されるわ財布から金を盗まれるわと踏んだり蹴ったり、そろそろ首も回らなくなりそうだ。そんな折、新たに雇った代理人ボブが、ひとり暮らしの老人ゴルヴィーとの契約話を持ち込んでくる。ゴルヴィーの持つバイオリンがかなりの値打ちモノであることを知ったミッキーは、これを騙し取ろうと画策。ところが警報機設置業者ランディのせいで事態はとんでもない方向に……。
(2011年 アメリカ)
★ネタバレを含みます★
【役者も雰囲気もいいが、完成度はいま一歩】
脚本・監督は『Thirteen Conversations About One Thing』というアンサンブルもの(アラン・アーキンも出演。日本では未公開・未ソフト化か)で高い評価を得たコンビらしい。
お芝居が中心。
主演グレッグ・キニアが楽しい。プライドが高くて見栄っ張りで負けず嫌いでいつも上から目線、でも嫁さんには頭が上がらず、その性格からか犬のピートには嫌われているミッキーという人間を、イヤミとアタフタとゴーマンさを上手にミックスさせて演じている。
だいたいアンタ、あんな間に合わせのニセモノ・バイオリンを用意したって成功するはずないんだから。思えばハナっから一夜限りの女性に金を盗まれていた、いや、開幕前から嫁さんに家を追い出されているような、浅はかさ一杯の愚か者なんだよな。
アラン・アーキンのマイペース爺ちゃんぶりはいつもながらの安定感。ランディ役のビリー・クラダップが出色で、これまではインテリ系の役柄が多かった印象だけれど、こういうハスっぱなチンピラも上手く演じられるんだなぁと感心させられる。
そうした役者たちの仕事と、ユーモラスで予断を許さない展開とを、わかりやすく丁寧に過不足なくスマートにテンポよく描いていく。現場のノイズや陰影をそのまま拾い上げる撮影が作りのうえでの特徴だ。
ただ、せっかくニヤニヤ観られる流れを結局「これこれこうでした」でまとめてしまったのは不満。ミッキーが犯罪に踏み出すまでの展開も少々長すぎる気がする。
全体として、過度な説明を省きながら「どうなる?」「どうする?」と引っ張っていくだけの力は持っているし、役者たちの貢献もあって楽しく観られるのだけれど、ダマシ系映画としての完成度はまだまだだろう。
●主なスタッフ
撮影/ディック・ポープ『幻影師アイゼンハイム』
編集/リー・パーシー『グレイ・ガーデンズ 追憶の館』
美術/ジェフ・ショーン『ニュースルーム』
音楽/ジェフ・ダナ『Dr.パルナサスの鏡』
音響/シェリル・ナルディ『イントゥ・ダークネス』
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