ボーン・レガシー
監督:トニー・ギルロイ
出演:ジェレミー・レナー/レイチェル・ワイズ/エドワード・ノートン/ステイシー・キーチ/オスカー・アイザック/ドナ・マーフィ/マイケル・チャーナス/コリー・ストール/コーリイ・ジョンソン/ジェリコ・イヴァネク/ニール・ブルックス・カニングハム/エリザベス・マーヴェル/デニス・ボウトシカリス/ルイ・オザワ・チャンチェン/スコット・グレン/デヴィッド・ストラザーン/ジョーン・アレン/アルバート・フィニー
30点満点中17点=監3/話3/出4/芸3/技4
【改造された兵士に迫る危機】
CIAが極秘裏に進めていた工作員育成プログラム『トレッドストーン計画』が破綻。事態の収拾にあたることとなったリック・バイヤーは、類似した計画もすべて抹消しようとする。ウイルスの働きによって肉体と精神を改造するという『アウトカム計画』に参加し、過酷な訓練に臨んでいたアーロン・クロスは、身の危険を察知して逃亡。この計画に加担していたマルタ・シェアリング博士と接触して生き延びようとするのだが……。
(2012年 アメリカ)
【焼き直しに過ぎない、という感じも】
ボーン・シリーズの脚本家であるトニー・ギルロイ自身のメガホン。『フィクサー』や『デュプリシティ』で監督としての腕は実証済み、安心して観ていられる。いや、サスペンスとしての安定感がある、という意味で。
スタントが頑張っている。アクションシーンそのものは思ったよりも少なめなんだが、動きや格闘のデザインはかなり良質。冒頭・雪山での訓練シーンの臨場感、マニラ市街地・路地裏&屋根での追跡劇の説得力、バイクによるカースタントのスピードと迫力などは、いずれも上々。ちょっと『ターミネーター』っぽい(いつまで追いかけてくるねん的な)バカバカしさも微笑ましい。
映画賞のスタント部門では『007 スカイフォール』に栄冠を譲っているようだが、決して負けていないだろう。
それらアクションをしっかり捉え小気味よくつなぐカメラと編集も手練れだし、なにげにVFXの効果も大きく、長く余韻を残すサントラはスリルを上手く盛り上げる。
役者では、渋いオジサンがズラーリで、そのへんがシュミの人にはウケがよさそう。「レイチェル・ワイズに似てるよな」と思ってたらレイチェル・ワイズ本人だった、というのが個人的には収穫(笑)。こんなに美人だったっけ? 髪型によってずいぶん印象が変わるんだな。
ボーン・シリーズありき、過去作を観ている人が対象で説明は省略します的なストーリーと作りは、新参者にはやや不親切かも知れない。ただ、グダグダと別作品の背景説明に時間を割かなかったこと、下手に「国家の秘密を暴くぜ」に走らず「とにかく消せ」でまとめた潔さは評価したい。
と、パーツには見どころも巧みさもあるのだけれど、トータルとしてみると“フツー”だろう。フツーによくできてる、という感じ。
だいたい、フォーマットはシリーズ過去作と似たようなものなので、いまさら感が強い。とりたててビックリするような展開もなし。追う側のリック・バイヤーも、エドワード・ノートンを連れてきた割には見せ場なんかゼロに等しいし。
まったく新しい楽しさが欲しかったところだ。
●主なスタッフ
脚本/トニー・ギルロイ『消されたヘッドライン』
脚本/ダン・ギルロイ『落下の王国』
撮影/ロバート・エルスウィット『ゴースト・プロトコル』
編集/ジョン・ギルロイ『パシフィック・リム』
美術/ケヴィン・トンプソン『ヤング≒アダルト』
衣装/シェイ・カンリフ『2012』
音楽/ジェームズ・ニュートン・ハワード『ハンガー・ゲーム』
音響/ペール・ホールバーグ『デンジャラス・ラン』
音響/カレン・ベイカー・ランダース『グリーン・ランタン』
SFX/ゲイリー・エルメンドルフ『恋するベーカリー』
SFX/トム・ブラックロック『特攻野郎Aチーム』
VFX/ハル・コーゼン『ダークナイト ライジング』
VFX/マイケル・ブルース・エリス『プリンス・オブ・ペルシャ』
VFX/ジョン・ヘラー『パーシー・ジャクソン』
スタント/ダン・ブラッドリー『スパイダーマン3』
スタント/クリス・オハラ『マネーボール』
格闘/ジョナサン・エウセビオ『アイアンマン2』
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