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2015/11/28

エージェント・マロリー

監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ジーナ・カラーノ/ユアン・マクレガー/マイケル・ファスベンダー/ビル・パクストン/チャニング・テイタム/マチュー・カソヴィッツ/マイケル・アンガラノ/アントニオ・バンデラス/マイケル・ダグラス

30点満点中17点=監4/話1/出4/芸4/技4

【女スパイが巻き込まれた企み】
 表に出せない仕事を請け負う女性工作員、マロリー・ケイン。彼女は仲間であるはずのアーロンに追い詰められる。発端はバルセロナ。マロリーやアーロンらは拉致されたジャーナリストを救い出すことに成功し、その後、マロリーは別の任務でダブリンへ飛んだ。フリーのスパイ=ポールと行動を共にするという簡単な仕事だったのが、不審なニオイを感じ取ったマロリーは一連の仕事の裏に罠が潜んでいることを嗅ぎ付けて……。
(2011年 アメリカ/アイルランド)

【テンポと主演女優で魅せる】
 リンチばりの“突然バイオレンス”で幕開け。以後、何が起こったのかをマロリーが、巻き込まれたスコット君(どうやらこの先も巻き込まれっぱなしのようだ)相手に話して聞かせる、という体裁。リズムよくスタイリッシュに事件の顛末が語られる。

 お話としては浅いし、ラストで「これこれこうでした」と説明しちゃったりするんだけれど、その単純さが奏功している部分もある。救い出す、逃げる、闘う……といったシンプルな行動を、手間暇かけてたっぷり見せるような方向性で作られているのだ。

 普通なら5秒で済ませるところを50秒かける、みたいな。より正確にいうと、ABCの3シーンがあるとしたら、Aを1~10まで描き、Bは5と6だけ見せておいて、Cはまた1~10、というイメージ。
 もちろん冗漫にはならない。軽快な編集にジャズが乗っけられて、テンポは上質。セリフなしでミッションが進む様子なんか、実に映画的だ。

 主演のジーナ・カラーノが、いい。鍛えられたモノホンの身体で繰り出す前蹴りがクール。彼女以外には考えられなかった役だろう。いっぽう黒のドレスが似合う美貌も持ち合わせているし、経験がほとんどないはずなのにお芝居もしっかり。
 周辺を固めるのはビックリするくらいの豪華メンバー。でも、あんまりゴージャス感を出さず上手に作品世界へハマる。アントニオ・バンデラスなんか、お恥ずかしい、ラストでようやく気づいたくらいだ。ケネス役ユアン・マクレガーの、切れ者なんだかヘタレなんだかわからない加減も良。

 まぁ単に「主演女優と事件の描きかたをカッコよく」という狙いだけで撮られた感も強いので傑作ではないけれど、光るところはある映画。

●主なスタッフ
撮影・編集/スティーヴン・ソダーバーグ
美術/ハワード・カミングス『コンテイジョン』
衣装/ショーシャナ・ルービン『インフォーマント!』
音楽/デヴィッド・ホームズ『レクイエム』
音響/ラリー・ブレイク『オーシャンズ13』
SFX/ケヴィン・ハニガン『ワルキューレ』
スタント/R・A・ロンデル『G.I.ジョー』
格闘/J・J・ペリー『アルゴ』

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