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2015/12/25

リンカーン/秘密の書

監督:ティムール・ベクマンベトフ
出演:ベンジャミン・ウォーカー/ドミニク・クーパー/アンソニー・マッキー/メアリー・エリザベス・ウィンステッド/ルーファス・シーウェル/マートン・ソーカス/ジミ・シンプソン/ジョゼフ・マウル/ロビン・マクレヴィ/エリン・ワッソン/ジョン・ロスマン/フランク・ブレナン/ラックス・ハニー=ジャーディン/キャメロン・M・ブラウン

30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4

【やがて大統領となる男の秘密】
 奴隷同然の生活を強いられるリンカーン家。彼らをこき使うバーツに母を殺された少年エイブラハムは、やがて成長し、弁護士となる勉強をしながら復讐の機をうかがっていた。だがエイブラハムは返り討ちにあい、酒場で知り合ったヘンリーからバーツの正体を知らされる。南部に送られる奴隷たちを“食料”として生きるヴァンパイアが存在し、バーツもそのひとりだというのだ。ヘンリーのもとで、打倒ヴァンパイアのための訓練が始まる。
(2012年 アメリカ)

【無理くり設定を楽しく仕上げた】
 なんか思いつきで作っちゃった設定っぽい割には、意外と無理やり感がなくって(いや、あるんだけれど)、史実とファンタジーが上手い具合に融合してちゃんとした仕上がりになってるぞ。
 たぶんラスト近くに登場する「ヴァンパイアだけが永遠じゃない」というセリフが効いているんだな。本作のテーマである“自由を求める国家の魂”に通じる言葉。それが映画の芯に据えられているからなんだろう。

 もっとも、作りとしては、そこはベクマンベトフ、アクションがウリ。アクションって、タイミングよく積み重ねてそれぞれの動きのグレードを上げれば“お茶目”になるってことが、よくわかる。
 個人的には嫌いなスローモーションも、ライブタイムからの遷移が実に見事で、この監督にかかれば「これが俺のスタイル」と観る者をねじ伏せるだけのパワーを持つ。
 とりわけ対バーツ戦は、投げ飛ばしたり馬を暴走させたりやりたい放題、らしさ全開だ。
 ま、もうちょっと目新しさは欲しかったけれど、スピーディで痛さと安定感があって、十分ウリにはなっている。

 VFXがメインとなる対戦格闘の場面以外でも、ポーンと飛んで転がるバーツの帽子とか、散って落ちる写真やオモチャの刀、俯瞰で捉えたワシントンの各所で銀が光るカットなど、小さなものから大きなものまで、画面の中へ物や人を収めるセンス、1つの画面をワクワク感のあるものに作りあげる技などを感じる。そういう基礎体力があるからこそ、アクションも面白く仕上がるのだろう。

 主演ベンジャミン・ウォーカー(リーアム・ニーソンの息子かってくらい似てると思ったら、ニーソンの若い頃を演ったこともあるんだね)は、若い頃のオドオドからハンターとしての成長、大統領の苦悩まで、しっかりとまっとう。ずっと日陰を歩いてきたっぽいドミニク・クーパー、美貌の下にどこか悲しみも抱えるメアリー・エリザベス・ウィンステッド、無慈悲な悪役ルーファス・シーウェル、調子がよくて裏もありそうなジミ・シンプソン、いずれも適役。かつ、全体にヨーロッパ英語を前面に押し出して映画の空気をスっと“歴史の中のアメリカ”に染めている。役者も世界観の構築に貢献しているといえるだろう。

 惜しいのは、中盤からちょっと駆け足になった点。少なくともウィルやスピードとリンカーンの関係は、もう少し時間をかけて描くべき要素だし、せっかくキレイなヴァドマにも見せ場があってよかったはず。
 小説が原作なので、そちらには描き込みがあるのかも知れないが、ならばなおさら本来はTVシリーズ10話くらいで語る内容だったろう。

 あと「僕を世界一の幸せ者にしてくれ」というプロポーズの言葉が素敵。もう私生活で使う機会はないだろうけれど。
 それと「日本でやるなら『魔物を滅ぼすために自らも魔力を取り込んだ信長』とかになるかな。それも面白そうだぞ」などと考えたり。

 ある意味“キワモノ”であり、大傑作ではないしあまり評判としては高くもないけれど、むしろそれだけに、いろいろとあるイイ部分や鑑賞後の想像で楽しくなる作品。

●主なスタッフ
脚本/セス・グレアム=スミス『ダーク・シャドウ』
脚本/サイモン・キンバーグ『シャーロック・ホームズ』
撮影/キャレブ・デシャネル『キルショット』
編集/ウィリアム・ホイ『エンジェル ウォーズ』
美術/フランソワ・オデュイ『アイ・アム・レジェンド』
衣装/カルロ・ポッジョーリ『デビルクエスト』
衣装/ヴァルヴァーラ・アヴジューシコ『ダーケストアワー 消滅』
メイク/ウィル・ハフ『マイティ・ソー』
音楽/ヘンリー・ジャックマン『崖っぷちの男』
音響/ヒュー・ワッデル『特攻野郎Aチーム』
音響/ドロア・モハー『完全なる報復』
SFX/マット・カッチャー『ナルニア国物語3』
VFX/マイケル・オーエンス『ヒア アフター』
スタント/ミック・ロジャース『ウォンテッド』
格闘/ツァイ・イゴール『デイ・ウォッチ』
格闘/ドン・L・リー『POC:生命の泉』

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