ゲットバック
監督:サイモン・ウェスト
出演:ニコラス・ケイジ/ジョシュ・ルーカス/マリン・アッカーマン/サミ・ゲイル/エドリック・ブラウン/マーク・ヴァレー/バリー・シャバカ・ヘンリー/M・C・ゲイニー/ダン・ブレイバーマン/ダニー・ヒューストン
30点満点中16点=監4/話2/出3/芸4/技3
【奪われた娘を取り返すために】
凄腕の銀行強盗ウィル・モンゴメリーは、人を殺さないのが身上だ。だが仲間であるヴィンセントの暴走やホイトの裏切りによってFBIのティム・ハーランドに捕えられてしまう。奪ったはずの1000万ドルを持っていなかったため刑期は8年に抑えられたが、出所したウィルを待っていたのは、ヴィンセントの死、1000万ドルの行方を執拗に追うハーランド、犯罪者であるウィルを受け入れようとしない娘アリソン。そのアリソンに危機が迫り……。
(2012年 アメリカ)
★ネタバレを含みます★
【薄いお話を、そこそこには面白く】
迷走を続けるニコラス・ケイジ。ここんとこ「なんで作ったの?」っていう映画が多い。本作も然り。とにかく、いろんな意味で薄いお話。
枝葉がほとんどなくって一直線に結末へと向かうストーリー、1000万ドルの行方はヒネリも何もなく、ラストは馬鹿アクション、娘をかなりの危機に曝しているし、人を殺さない主義のくせに娘の前でブっ刺しちゃうとか(まぁ正当防衛&娘を傷つけられたことへの怒り、というエクスキューズはあるけれど)。
だいたい、主人公と悪いヤツと追っかけてくる捜査官という図式に街のパレードを絡ませるのって、まんま『逃亡者』だよね。ラストのヴィンセントなんか完全に『ターミネーター』だし。
ただしその薄さが、いい作用をもたらしている気配もある。
中身のなさを見せかたの面白さで補い、とにかく描写で盛り上げて退屈させないことが最大のミッション。その点では監督やスタッフ、けっこう頑張っている。
たとえば冒頭ではウィルたちの“手際の良さ”をテンポよく畳みかけて、説明することなしに「確かに凄腕だな」と思わせる。そこから続くカー・スタントの派手さは、さすが『メカニック』のチーム。そうやってオープニングからクライマックス級のアクション・演出を見せることで、上手に観る者を引き込む。
処理オチするサーモグラフィ、旧字体の“戦”の入れ墨、犯罪にはやっぱり似合うジャズ、鍵の中に入り込んだりタクシーの車体サイドに固定されたりするカメラ、マリン・アッカーマン&サミ・ゲイルの2人の美形、と、ユニークなところやリアルな部分も、まずまず多い。
お話が薄いぶん、それら“いいところ”がわかりやすい。
別に作らなくったってよかった映画だけれど、ギリギリ「観なくてよかった映画」にはしなかった、そんなセンスや底力は感じられるんじゃないだろうか。
●主なスタッフ
脚本/デヴィッド・グッゲンハイム『デンジャラス・ラン』
撮影/ジェームズ・ウィテカー『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』
編集/グレン・スキャントルベリー『トランスフォーマー』
美術/ジェームズ・ヒンクル『セルラー』
衣装/クリストファー・ローレンス『アドレナリン』
音楽/マーク・アイシャム『バッド・ルーテナント』
音楽監修/セレナ・アリザノヴィッチ『ドライブ・アングリー』
音響/クリストファー・アーキンス『エクスペンダブルズ2』
SFX/ジャック・リンチ『ブレイクアウト』
スタント/ヌーン・オーサッティ『エクスペンダブルズ』
格闘/ラーネル・ストヴァル『ハンガー・ゲーム』
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