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2016/01/14

キリング・フィールズ 失踪地帯

監督:アミ・カナーン・マン
出演:サム・ワーシントン/ジェフリー・ディーン・モーガン/ジェシカ・チャステイン/クロエ・グレース・モレッツ/ジェイソン・クラーク/アナベス・ギッシュ/シェリル・リー/スティーヴン・グレアム/ジェームズ・ランドリー・ヘバート/デニーン・タイラー/ジョン・アイズ/ライル・ブロカート

30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4

【消えた者、殺された者、守るべき者】
 少女の失踪が相次ぐテキサスシティ。刑事のマイクとブライアンは発見された遺体を手掛かりに、逮捕歴のあるレヴォンやその仲間ルールの捜査を開始する。マイクの元妻で刑事でもあるパムによれば、新たな失踪者も出たらしい。マイクとブライアンにとってはアンも気がかりだ。母親ルーシーが複数の男を始終家に招き入れており、アンも道を踏み外す恐れがあった。ルーシーの客のひとりライノの振る舞いも怪しい。そしてまた事件が起こる。
(2011年 アメリカ)

【遺伝子と経験が生み出す陰鬱な世界】
 監督は『パブリック・エネミーズ』などのマイケル・マンの娘で、TV業界で働いたり父親の『ヒート』では2ndユニットのディレクターを務めたりしている。脚本のドナルド・F・フェラローネは麻薬取締局の元捜査官で、数多くの犯罪映画にアドバイサーとして参加しているようだ。
 遺伝子とキャリアは、ちゃんと実を結ぶのだな。

 遠景からクローズアップへ。芝生の上の平和なひと時からケチな犯罪へ。対比での開幕は、人の世界の二面性を物語る。
 以後もカッティングに特徴のある作り。アンにとって実家が「足を踏み入れたくない場所」「見たくない見慣れたもので構成された空間」であることを示すラスト近くの場面のように、カットの積み重ねで上手に意味とリズムとを生み出している

 ただし娘監督は父親とは違って、ポンポンと畳みかけるのではなく、1シーンずつをたっぷりと見せるような流れ。そこには密度があって退屈にはならない。人の身振りや動作を画面の端にサラリと入れ込む粋のようなものも示す。
 画面はアンダー、昼は赤い粒子をまぶしたようにギラリとし、夜は闇に沈み込む。気怠いMazzy Starを乗っけたりして、どこまでも陰鬱だ。

 そうして描かれるのは、ほとんど救いようのない世界。
 事件やテーマに普遍性や寓意やメッセージ性はない。ただの愚か者と変態とが犯す罪。それを追うのも、ただの刑事たち。サム・ワーシントン、ジェフリー・ディーン・モーガン、ジェシカ・チャステイン、いずれも田舎町の刑事を等身大で演じ、犯罪者どもはいかにも犯罪者、ルーシー役シェリル・リーは鬼畜母を、クロエ・グレース・モレッツ(序盤の雨に濡れている場面が、かなりヤバイ)は行き場のない少女をまっとうする。
 淡々とした物語と、キャスティングと芝居の適確さ、ある意味では“フツーさ”が、「どこにでもある出来事」というイメージを呼び、絶望を誘う。

 惜しむらくは、平穏と愛を信じるブライアンの想いが掘り下げられていなかった点。それがあってこそ、彼自身の抱える世に対する怒りや、よりストレートなマイクの立ち位置、彼の想いと短絡的または挑発的な犯罪との対比が明確になり、作品に込められた“人の世界の二面性”も浮かび上がったはずだ。
 また序盤に期待したほどにはクロエの見せ場が多くなかったのも、ほぼ彼女目当てで観た身としては残念。

 短尺を考えると、そのあたりはひょっとして切られたのか。とすれば親父さんがバッサリ? 親離れしたら、もっといい映画を撮れるかも知れない。

●主なスタッフ
撮影/スチュアート・ドライバーグ『幸せの1ページ』
編集/シンディ・モッロ『ザ・ウォーカー』
美術/アラン・レオ・マン『マイアミ・バイス』
衣装/クリストファー・ローレンス『メカニック』
音楽/ディコン・ハインクリフェ『ウィンターズ・ボーン』
音楽監修/リズ・ギャラチャー『HACHI 約束の犬』
音響/クリストファー・バーネット『ゴールデン・アーミー』
SFX/デヴィッド・K・ナミ『バッド・ルーテナント』
スタント/ダーリン・プレスコット『ドライヴ』

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