ロックアウト
監督:ジェームズ・マザー/スティーヴン・セイント・レジャー
出演:ガイ・ピアース/マギー・グレイス/ヴィンセント・リーガン/ジョセフ・ギルガン/レニー・ジェームズ/ティム・プレスター/ジャッキー・イド/アンネ=ソレーン・ハッテ/ピーター・ハドソン/ピーター・ストーメア
30点満点中17点=監3/話3/出3/芸4/技4
【宇宙の刑務所、潜入する工作員】
衛星軌道上に浮かぶ最新の刑務所MS1。人道支援活動に熱心な大統領の娘エミリーは、そこで人体実験がおこなわれているのではと疑いを持ち視察に向かうが、暴動発生により人質となってしまう。エミリー救出の任を託されたのは、無実の罪でMS1に送られる予定のCSI工作員スノー。スノーはまた、MS1に収監されている元相棒メースと接触し、自らの潔白を証明してくれるスーツケースの在り処を聴き出すことも目的とするのだが……。
(2012年 フランス)
【退屈させません】
細かなことは気にしません。ただし退屈させません。ベッソン印のバカ・アクションである。「こんなアイディアあるんだけれど、撮ってみる? あっそう、じゃ後はお任せで」てな具合で作られたニオイ。
軽いノリの割には、一応の責任は果たしている。『ザ・ロック』とか『ニューヨーク1997』(←ぶっちゃけコレが本作のオリジナルといっていいかも)とか刑務所潜入モノは数々あって、その中でもわざわざ衛星軌道上を舞台としたからには、外に射出されたら終わりとか、地上に落っこちるかもとか、機関砲VS宇宙戦闘機の銃撃戦とか、そのあたりを入れ込むのは最低限の責任ってもんだ。
エミリーの救出&メースとの接触、ミッションを2つにしたことや、シークレットサービスとCSIの対立、犯罪者側の因縁など、わかりやすさを削がない程度に話を重層的にし、ウイットで包んだ会話を散らして、必要以上のバカには陥っていない点もいい。そうした重層構図をやがて1つにまとめていく流れ・まとめも上々だ。
でもやっぱり、細部は端折ってひたすらスピーディに、基本的にはアクション中心の展開。キーとなるスーツケースは、あくまでマクガフィン。何が何だかの細かなカット割りでポンポンポンと、セリフのある人物でもたくさん殺していく潔さ。
BGMが鳴り響き、鳴っていない場面は電子音と空調のノイズ。そうしたことで生まれる密度のようなものも、この作品に漂う“息つく暇なし”的な雰囲気を支えている。
あとガイ・ピアース、こういう軽薄マッチョも意外とイケてる。
まぁ浅っさい映画ではあるんだけれど、スーツひとつの大気圏突入も「まぁそういうノリだしね」で許せちゃうし、決定的に「アホかっ!」と突き放したくなるダメダメさもなくって、退屈しないのは事実である。
メモとして、ジョン・ウエインの本名はマリオン・ロバート・モリソン。
●主なスタッフ
編集/カミーユ・ドゥラマーレ『トランスポーター3』
美術/ロメク・デルマタ『ユナイテッド93』
衣装/オリヴィエ・ベロワ『アーサー・ミニモイ』シリーズ
音楽/アレクサンドル・アザリア『トランスポーター2 』
音響/ポール・デヴィアス『ラスト・ターゲット』
SFX/クリス・レイノルズ『ウルフマン』
VFX/リチャード・ベイン『エージェント・マロリー』
スタント/パトリック・コーデリエ『ミックマック』
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