ロンドンゾンビ紀行
監督:マサイアス・ヘイニー
出演:ラスムス・ハーディカー/ハリー・トレッダウェイ/ミシェル・ライアン/ジャック・ドゥーラン/ジョージア・キング/アシュリー・トーマス/トニー・ガードナー/オナー・ブラックマン/トニー・セルビー/ジョージーナ・ヘイル/ダドリー・サットン/リチャード・ブライアーズ/アラン・フォード
30点満点中15点=監3/話2/出3/芸4/技3
【チンピラと老人たち、ゾンビに立ち向かう】
ロンドンのイーストエンド。定職につかずチンピラ生活を送るテリーとアンディの兄弟は、大恩あるレイ爺ちゃんの暮らす老人ホームが取り壊されることを知る。爺ちゃんを救う金を工面するため、兄弟は従妹のケイティや軍隊上がりのミッキーらと銀行を襲うことに。いっぽう老人ホーム近くの工事現場で発掘された古い墓の中では、白骨死体が作業員に噛みつく事態。やがて街にはゾンビが溢れかえり、強盗一味や老人ホームは孤立し……。
(2012年 イギリス)
【それだけ映画】
ハッキリとC級。だいたい何だ、この実体を反映しない邦題は。ちなみに原題は『Cockneys vs Zombies』。うん、こっちだと「貧困層のチンピラどもが、気分も状況もヤケっぱちの中で、それでもいろいろと工夫したり思いやりを発揮したりしながらゾンビと戦う」っていう内容がちゃんと伝わってくる。
で、映画としては、ただそれだけ。まぁ安い労働力の流入とか都市部における経済格差とかに対する弱者の叫びのようなものも含まれているのかも知れないけれど、少なくとも日本人から見れば“それだけ”映画。
それでも楽しさが詰まっていればいいのだが、どうも弾けない。
ゾンビものとしての面白いアイディアは、そこそこ見られる。化学工場とか軍の研究以外のゾンビ・ビギニングは一周回って新鮮だし、赤ん坊ゾンビとその対処法もタブーを犯すビッグチャレンジ。歩行補助器具なしでは移動できない爺さんとゾンビの駆けっこも、ゾンビ=走れないという設定を逆手に取った芸だ。
血しぶきや特殊メイク、火の手が上がる街、湿った空気、そしてあちこちワラワラのゾンビなど見た目的にも、安い予算で頑張ってはいる。
が、そこから一歩突き抜けないというか、アイディアが散発で作品トータルの面白さに昇華していかないというか。
そもそもの部分における「こんなゾンビ映画を撮りたい」という熱さや、それをまとめ切るセンスが足りなかった感じかな。
●主なスタッフ
脚本/ジェームズ・モラン『タッチウッド』
編集/ニール・ファレル『スルース』
音響/サイモン・ガーション『パイレーツ・ロック』
SFX/コナル・パルマー『ディセント』
SFX/スコット・マッキンタイア『銀河ヒッチハイク・ガイド』
特殊メイク/サリー・オルコット『ファースト・ジェネレーション』
特殊メイク/ステュアート・コンラン『ショーン・オブ・ザ・デッド』
VFX/ポール・ノリス『アンノウン』
VFX/セルヒオ・アイロサ『ジョン・カーター』
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