ボディ・ハント
監督:マーク・トンデライ
出演:ジェニファー・ローレンス/マックス・シエリオット/エリザベス・シュー/ギル・ベローズ/エヴァ・リンク/ノーラン・ジェラード・ファンク/アリー・マクドナルド/ジョーダン・ヘイズ/クリスタ・ブリッジス/ジェームズ・トーマス/ヘイリー・シセラ/クレイグ・エルドリッジ/ジョイ・タナー/ボビー・オズボーン/グレイス・タッカー=デュガイ
30点満点中17点=監3/話3/出4/芸3/技4
【ある殺人事件の真相とその後】
母サラとともに、森に囲まれた小さな町へと越してきたエリッサ。ふたりには大きすぎる家だったが、かつて隣家で起きた凄惨な事件のため安く借りられたのだ。事件とは、少女キャリーアンが両親を殺害、森に逃げ込んだまま見つからないというもの。一帯の不動産価値を下落させたことで、生き残った隣家の長男ライアンは町の人々から疎まれていた。やがてライアンの親切や人当たりの良さに触れたエリッサは彼との仲を深めるのだが……。
(2012年 アメリカ/カナダ)
【B級だと腹をくくれば悪くない】
これが『ハンガー・ゲーム』や『世界にひとつのプレイブック』と同じ年に公開されたとは、にわかに信じがたい、ジェニファー主演のB級サスペンス。30年前のエリザベス・シュー主演作っていうならわかるけれど。
実際、ジェニファーでなきゃ誰も観ないよな。もちろんここでも多彩な表情と安定感ある芝居を披露してくれているけれど、別に彼女じゃなくってもいいような役。ただ、相手役マックス・シエリオットもこの手のこのクラスの映画としては珍しく“切羽詰っているのに落ち着きがある”というなかなかの演技を見せていて、この組み合わせは悪くない。
それに、どうせB級でしょ、と腹をくくって観ると、意外と面白い。
予想のナナメ下へと突っ込んでいくストーリー展開。ここをこうしていればと思わせる部分もあるけれど、決定的な破綻はなくって、伏線もちょこちょこと散らしてあるし、「これこれこうでした」という説明の愚もフラッシュバックで上手く誤魔化してある。結果「あー、そういうことなのね」と、一応の納得とスリルとを両立させた仕上がり。
序盤、カメラはグリグリと動き、たっぷりと状況を捉え、ビデオクリップ風の処理で“イマドキ感”も醸し出す。中盤から終盤にかけては畳みかけるようにサスペンスを盛り上げる。
ひょっとしたら凄く哀しいラブロマンスに仕立てることも可能な物語を、音楽の乗せかたや編集なども含めた“作りかた”のベクトルをもう1ランク安っぽいところに統一させることによって、典型的なB級YAサスペンスとしてまとめ切った潔さが成功しているのだろう。
要は作る側も「どうせB級」と腹をくくっているわけだ。
それと「人がまだ起きていない朝は、大気が消耗していない」って、いいクドキ文句になりそうだ。メモメモ。
●主なスタッフ
原案/ジョナサン・モストウ『サロゲート』
撮影/ミロスラフ・バシャック『ランド・オブ・ザ・デッド』
編集/スティーヴ・ミルコヴィッチ『顔のないスパイ』
音響/マーク・ギングラス『THE GREY 凍える太陽』
音響/ジョン・ダグラス・スミス『ソウ5』
音楽監修/スティーヴ・リンゼイ『ウェルカム・トゥ・サラエボ』
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