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2017/06/19

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

監督:ギャレス・エドワーズ
出演:フェリシティ・ジョーンズ/ディエゴ・ルナ/アラン・テュディック/ベン・メンデルソーン/ドニー・イェン/ウェン・ジャン/リズ・アーメッド/ヴァリーン・ケイン/アリステア・ペトリ/ジミー・スミス/ジュネヴィーヴ・オライリー/ダンカン・パウ/ベン・ダニエルズ/ポール・ケイシー/イアン・マッケルヒニー/ファレス・ファレス/ジョナサン・アリス/ドリュー・ヘンリー/アンガス・マッキネス/アンガス・ライト/ガイ・ヘンリー/イングヴィルド・デイラ/ボー・ギャズドン/ドリー・ギャズドン/ワーウィック・デイヴィス/マッツ・ミケルセン/フォレスト・ウィテカー/アンソニー・ダニエルズ/ジェームズ・アール・ジョーンズ

30点満点中18点=監4/話3/出3/芸4/技4

【あらすじ……その重要機密を奪い出せ!】
 帝国の超破壊兵器デス・スターの完成が近づき、反乱同盟は危機に曝されていた。そこへデス・スター建設への協力を強いられているゲイリン・アーソから「中心部に仕掛けた罠を突けば一撃で沈められる」とのメッセージが届く。ゲイリンの娘ジン、反乱軍のキャシアン、ドロイドのK-2SO、脱走パイロットのボーディ、チアルートやベイズらチーム“ローグ・ワン”は設計図入手の決死行に挑む! エピソードIVへと続くストーリー。
(2016年 アメリカ)

【内容について……“つなぎ”以上の濃密さ】
 こういう展開&ラストもありうる位置づけの作品だということを、うっかり失念していた。
 6部作は、フォースの暗黒面に取り込まれたアナキンを中心とするスカイウォーカー家の“業”をメインテーマとしながら、西部劇に剣戟にラブロマンスとあらゆるエンターテインメント要素を詰め込んでスペースオペラとしても成立させていた。
 ところが本作は、ひたすら戦場を、銀河を二分する戦争に巻き込まれた者たちの悲劇を描く。つまり戦争映画なのだ。それが、少しばかりショック。ファンタジックなニオイを漂わせていた6部作と、かなり雰囲気が異なるんだもの。
 もちろんそれは、歓迎すべき革新性だとも思う。

 まったくの“別物”というわけではない。ダース・ベイダーがいる、C-3POがいる。スター・デストロイヤーが飛び、Uウイングが宙を舞う。ところどころに滲み出るユーモア、ある種の都合の良さ、端折りすぎと紙一重のスピード感、お約束の「嫌な予感がする」……。このシリーズならではの楽しさがあふれている。
 黒沢明や永井豪など日本的ファクターのアレンジも当シリーズの特徴。今回は勝新太郎の遺伝子まで取り込んだことに驚かされる。

 そんな“らしさ”に加え、前述の通り帝国vs反乱同盟の戦いの中で多くの戦士が命を落としていった事実を描いたことを合わせれば、まさしく「スター・ウォーズ・ストーリー」を名乗るにふさわしい作品である。

【作りについて……アクション映画としての完成度を目指したか】
 各キャラクターの躍動や表情の面白さ&楽しさをしっかりと追っていて、一般的な(そして上質な)アクション映画/戦争映画でよく観られる作風に思える。カメラと人物の距離感も、やや近めだ。
 そういう意味では「大きな舞台を作って、そこに潜り込む」というイメージだった6部作とは異なる印象。今作で描かれている事件の内容などを考えれば、うむ、これで正解だし、素直に「よく出来ているな」と感じる。

 既存楽曲の変奏を多用したサントラは『スター・ウォーズ』らしさの創出=「ただの一篇のアクション映画ではない」という重厚さを生み出し、もちろん本作そのもののスケールや緊迫感の増強にも貢献。大地の崩壊シーンなどVFXの仕事も見事だ。

 フェリシティ・ジョーンズのジン・アーソは、なかなかのハマリ具合。それほど深いところまで掘り下げられることはないのだけれど、それがかえって「宇宙史の1コマ」という哀しい軽さにつながっている。ハネっかえりの若造だったディエゴ・ルナも、上手くイメージを変えてきた。
 チアルートのドニー・イェンが出色だ。アクションはドニー自身の考案で構成・撮影されたんだとか。そのエネルギッシュかつシャープかつ説得力に富む動きと、スピンオフが作られてもいいほどのキャラクターの濃さは賞賛ものだ。
 K-2SOも本作を語るのに欠かせない魅力的な存在。どことなく『アイアン・ジャイアント』を思わせるフォルムと、「ユーモアを介するつもりでいるAI」のストレートな表現が楽しい。

 あと、鑑賞メモに「字幕 林完治」とあるんだけれど、観てから時間が経ったので、いいと思ったのか疑問に感じたのか忘れた。たぶん「6部作を踏まえたうえでの翻訳だなぁ」と感心したのだと思うけれど。

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