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2017/07/14

パッセンジャー

監督:モルテン・ティルドゥム
出演:ジェニファー・ローレンス/クリス・プラット/マイケル・シーン/ローレンス・フィッシュバーン/アンディ・ガルシア

30点満点中18点=監3/話3/出4/芸4/技4

【あらすじ……宇宙船、彼と彼女】
 はるか離れた移住先の惑星へ向けて進む宇宙船アヴァロン号。コールドスリープ中の乗客5000人が目覚めるのは120年後……、のはずだった。トラブルから、ただひとり目覚めてしまうジム。目標の星に到着するのはまだ90年も先だ。ようやく人間を見つけたと思っても、それはバーテンダー型のロボット。自暴自棄となり、ひとり船内で無為な時間を過ごすジム。だがある日、もうひとりの目覚めし者=オーロラと出会うことになる。
(2016年 アメリカ)

★ややネタバレを含みます★

【内容について……ザ・デートムービー】
 カテゴライズするなら「ソリッド・シチュエーション&パニックSF」といったところか。という期待とともに鑑賞。実際、それが基調だ。
 でも悲壮感は抑え目。孤独に押し潰されそうなジムのグダグタっぷりも、ちょっとステレオタイプで安っぽい。

 ただし、本作の場合はそこがいいわけで。
 だってこれ、デートムービーですからね。だから軽くてテンポよくって明るくなくっちゃ。オタク要素なんか無用。

 そうとは知らずに観たわけだけれど、そのおかげで新鮮な衝撃を味わうことができた。パニックムービーの「さぁ、こういう時どうする?」というハラハラから「で、あなたならどうする?」という愛の価値観お試しクエスチョンへと持っていく、その、デートムービーとしての着地の見事さ。

 で、考えてみるとジムやオーロラを含む大多数の乗客は「それまでいた場所から離れたい」、あるいは「新天地で誰も経験したことのない人生を送りたい」というのが、この旅の動機だったはず。それはアヴァロン号の船内生活でも可能なわけだ。
 その事実を踏まえたうえで、ジムとオーロラの立場で思索すべき作品。できれば彼女または彼氏と、いっしょに観たいところ。

 う~ん、男なのでジムに感情移入して観ることになるけれど、М気質の身にとってもかなりキツイなぁ。「同じようなトラブルを回避する“守り人”としての役割を全うすることで歴史に名を刻める」という可能性を、孤独な数十年間の代償として受け入れ、モチベーションにできるかどうか。たぶん精神をやられてしまうだろうなぁ。
 オーロラの場合は、どうか。相手がイケメン(ここが最重要なんだろうけれどね、もちろん)だったら、意外と悩む必要はないのかも。

 細かなツッコミどころはあるものの、デートムービーとしての完成度の高さに、ニンマリが勝ってしまう映画である。

【作りについて……手堅くまとまる】
 脚本は『ダーケストアワー 消滅』のジョン・スペイツだけれど、今回は奇跡的にシャキっとまとまった。
 撮影は『アルゴ』などのロドリゴ・プリエト、美術は『インセプション』のガイ・ディアスで、このあたりは安心感のある仕事っぷり。

 オーロラ役のジェニファー・ローレンスは、お芝居というよりも、佇まいを、はたまた立ち姿・座り姿の角度を、輪郭を、作品&キャラクターに合わせて自在にコントロールしているように思える。イケイケでもハスッパでもミュータントでもなくって、ちゃんと“インテリジェンスと向上心を持つハイ・ソサエティ”になってるもの。
 相手のクリス・プラットもハマリ役だが、むしろアーサーを演じたマイケル・シーン の、ちょっと上から目線、悪気はないけれど人をイライラさせる感じが、もっとハマっている。

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