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2017/08/31

X-MEN:フューチャー&パスト

監督:ブライアン・シンガー
出演:ヒュー・ジャックマン/ジェームズ・マカヴォイ/マイケル・ファスベンダー/ジェニファー・ローレンス/ニコラス・ホルト/ピーター・ディンクレイジ/エヴァン・ピーターズ/ジョシュ・ヘルマン/マーク・カマチョ/ハル・ベリー/エレン・ペイジ/ショーン・アシュモア/オマール・シー/ダニエル・クドモア/ファン・ビンビン/エイダン・カント/ブーブー・スチュワート/アンナ・パキン/ファムケ・ヤンセン/ジェームズ・マースデン/イアン・マッケラン/パトリック・スチュワート

30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4

【あらすじ……すべてを救うため、過去へと飛べ】
 対ミュータント用に開発されたロボット兵器“センチネル”に苦しめられるプロフェッサーやマグニートーらミュータントたち。人類滅亡の危機、その発端は1973年のある事件だ。希望を託されたウルヴァリンの意識が過去へと飛ぶ。だが当時はプロフェッサー/チャールズとマグニートー/エリックは敵対関係にあり、ウルヴァリン/ローガンとも出会う前。事件のカギを握るレイヴン/ミスティークも自らの価値観のみで動こうとしていた。
(2014年 アメリカ/イギリス)

【内容について……時間モノの解法】
 時間モノとしての2つの“発明”が印象的だ。
 そもそもタイムパラドックスに関する描写って出尽くした感があるのだけれど、本作では「過去と未来が同時に存在する」という設定で勝負。もちろん「過去の出来事に応じて未来も改変される」という大前提は残るものの、それぞれの時間で独自のバトルが繰り広げられるのだ。
 要は「タイムパラドックス的なゴチャゴチャを深く考えることなく、どっちも自由に闘える設定のほうがやりやすいじゃん」を実現しているわけだ。その潔さ

 そして、単に作品内の人たちを救うためだけではなく、整合性が取れなくなったり、マンネリに陥ったりといった長期シリーズが抱える欠点を打ち破るために歴史をイジってしまうという荒業
 いわば作品内で堂々と「あれはなかったことにします」「ここはやり直します」と宣言するようなもの。この手法であれば、ムダに死なせちゃった人物や意外と人気の出たサブ・キャラを救済することが可能。リスタートを迎える新シリーズで、あらためて思う存分働いてもらうことができる。新キャラだって出し放題。作品間で演者が変わっても「これは過去作とは別の時間軸の物語だから」というエクスキューズを持ち出せる。

 時間モノの解法としては、とんでもない発明。『ターンAガンダム』以来の“いろいろあったことの清算術”じゃなかろうか。

 ま、整理整頓を重視したおかげで、せっかくの歴史改変というSF的な大テーマが、シリーズ中の意味合いとしては“つなぎ”に落ち着いてしまったことは残念。
 ただ、人類史にミュータントの存在が強く刻まれる瞬間も映像化されたことだし、ここいらで過去作&スピンオフを、時間軸を意識しながら、あるいは時間軸に沿って、もう1回観てもいいかも知れない。

【作りについて……贅沢なキャスティング】
 ある意味で乱暴なお話なんだけれど、作りは乱暴じゃない。サイズや角度のバラエティに富んだ絵で、細かいところにまで気を遣って丁寧に撮られている印象。

 今回あらためて思ったのは、出演者たちの立ち姿、たたずまいがキャラクターにピタリと合致していて、かつ“決まって”いること。
 ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンスあたりって賞レースに乗るクラスの役者なのに、真面目に(いってしまえば)奇天烈なキャラクターを演じていて、しかも説得力を与えていることが、本シリーズに重みをもたらしているのだと思う。

 ファムケ・ヤンセンとジェームズ・マースデンはともかく、ハル・ベリーがこの程度の扱いをされるなんてねぇ。それだけ彼女らも『X-MEN』という世界が好きで、シリーズをシリーズとして成立させるために自分ができることをやり遂げる、プロフェッショナリズムの持ち主なのだろう。

●主なスタッフ
脚本/サイモン・キンバーグ『リンカーン/秘密の書』
撮影/ニュートン・トーマス・サイジェル
編集&音楽/ジョン・オットマン 以上『ジャックと天空の巨人』
美術/ジョン・マイヤー『P.O.C./生命の泉』
衣装/ルイーズ・ミンゲンバック『G.I.ジョー バック2リベンジ』
ヘアメイク/ノーマン・ヒル=パットン『ザ・コール[緊急通報指令室]』
ヘアメイク/フェリックス・ラリヴィエール『ホワイトハウス・ダウン』
音響/クレイグ・バーキー
SFX/キャメロン・ウォルバウアー 以上『エリジウム』
音響/ジョン・A・ラーセン『ウルヴァリン:SAMURAI』
VFX/リチャード・スタマース『プロメテウス』
VFX/ルー・ペコラ
スタント/ジェフ・ハバースタッド
スタント/ジェームズ・М・チャーチマン
スタント/トレヴァー・ハバースタッド 以上『アイアンマン3』
格闘/レニー・マネーメイカー『ハンガー・ゲーム2』
格闘/ダニエル・スティーヴンス『アメリカン・スナイパー』

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