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2017/08/25

SING/シング

監督:ガース・ジェニングス
声の出演:内村光良/MISIA/長澤まさみ/大橋卓弥/斎藤司/山寺宏一/坂本真綾/田中真弓/宮野真守/水樹奈々/谷山紀章/石塚運昇/村瀬歩/木村昂/柿原徹也/重本ことり/佐倉綾音/辻美優/河口恭吾/MC☆ニガリa.k.a赤い稲妻/Rude-α/大地真央

30点満点中19点=監4/話3/出4/芸4/技4

【あらすじ……劇場はどうなるの?】
 経営難に陥った劇場を救う起死回生の策として歌のコンテストを開催するバスター・ムーン。スターに憧れる人々がオーディションに押し寄せ、その中にはシャイなミーナ、パンクロッカーのアッシュ、窃盗団のジョニー、お調子者のグンター、主婦のロジータ、ストリートミュージシャンのマイクなど才能あふれる面々もいた。が、彼らはそれぞれ問題を抱え、バスター・ムーンも手違いで広まってしまった賞金10万ドルの工面に四苦八苦で……。
(2016年 アメリカ アニメ)

【内容について……ノれる】
 評判のいい吹き替え版で鑑賞。「なるほどね」と感心したけれど、キャスト以前に作品としてのデキが最大の成功要因でしょ。

 突っ込みどころは、ある。
 バスター・ムーンが、本当に劇場を救うかどうかも怪しい「歌のコンテスト」を思いつき、実践してしまうのは少々強引(まぁ彼は生来の楽天家なんだろうけれど)。オーディション合格者とバスターが見舞われるトラブルも取ってつけた感のあるわかりやすいものばかりで、全体にニギヤカすぎ、情感に欠け、あくまで“ご家族連れ向け”の展開だ。

 ただ、楽しいからぜぇんぶOK、と思わせる仕上がり。
 好きなものに熱中して何が悪い。不器用でもいいじゃないか。どん底にいるってことは、あとは上がるだけ。人生を変えるために動き出せ!
 そんなポジティヴなメッセージを全編に渡って貫き、テンポよく、登場人物たちの奮闘ぶりや善良さを畳みかけるように描いていく。なんかね、この先どうなるんだろうと考える余裕すらないくらいスピーディ。展開の疾走感に“ノれる”とでもいおうか。

 各キャラクターたちの悩みを“わかりやすいものばかり”と書いたが、夢と現実のギャップ、内向性、恋人や家族との関係、認められない才能、それらゆえの挫折……、つまりは「多くの人たちが抱えている問題」ともいえるわけで、観る人それぞれが誰かに感情移入できるかも知れない。

 そして、音楽の持つパワーを純粋に楽しめる点が大きい。披露されるナンバーもほとんどがポジティヴで“ノれる”のだ。
 しかも、80歳のお婆ちゃんはシナトラに、50代の主婦はスティーヴィー・ワンダーに、20代後半のママはテイラー・スウィフトに、6歳の子どもはすべての動物たち(と斎藤さん)に、誰もがワクワクできるようアーティストと楽曲が散らされている。四世代が楽しめる、稀有な映画といえるだろう。

【作りについて……視覚的なゴージャス感とキャスト】
 街を立体的に、広く、けれど親しみも持てる適度なスケール感で構築。その中で生きる動物たちもみな生き生きとしたアクションを見せる。海外の絵本チックなキャラクターデザインと色彩も作品の世界観に合致していて、視覚的なゴージャス感は上質だ。

 マシュー・マコノヒーやスカーレット・ヨハンソンらの声も聴きたかったとは思うけれど、日本語版も、噂通りなかなかのもの。
 ウッチャンは、空回りする“物語の主”はお手の物。斎藤さんはお調子者っぽさで場を盛り立て、かといって必要以上に出しゃばらないのがいい。長澤まさみと大橋卓弥の熱唱は本作のハイライトで「ああ、このキャスティングでよかった」と納得させられる弾けっぷりだ。

 また、芸人/シンガー/女優に混じって配置された“純声優”とも呼ぶべき方々の力量も、さすが。山寺宏一は、その確かな芝居と歌声で観る者を黙らせてしまう。坂本真綾は、草薙素子とは真逆の役どころにまったく違和感がなく、実に手堅くて、かつ可愛い。
 驚いたのがカメレオンのミス・クローリー。「誰かベテランの、老婆専門の役者(声優)さんかな。味があって上手いよなぁ」と思いながら聴いていたので、エンドクレジットを見て腰を抜かした。まぁ昔から忍豚、はに丸、コエンマ(珍しく二枚目)とあらゆる人外役をやってきた人だけれど、どんだけ幅が広いねん

 ちょっと残念だったのはMISIA。間違いなく日本で3本の指に入る歌姫なのだから、アップテンポの楽しさは長澤まさみと大橋卓弥に任せて、こちらはもっとたっぷりと、聴くだけで涙が出てくるようなバラードに専念してほしかったところ。彼女にも日本語版スタッフにも責任のない個人的な文句なんだけれど、残念というより「もったいない」。
 “圧倒的な歌唱力”や“有無をいわさず魂を揺さぶる歌”の表現を『フィフス・エレメント』『リンダリンダリンダ』『さや侍』などで体感しているものだから、どうしても「この作品で、しかもMISIAなら、それは超えられただろ」と、欲求が高くなってしまうのである。

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