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2017/08/28

メッセージ

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:エイミー・アダムス/ジェレミー・レナー/フォレスト・ウィテカー/マイケル・スタールバーグ/マーク・オブライエン/ツィ・マー/ジェイディン・マローン/アビゲイル・プノウスキー/ジュリア・スカーレット・ダン/フランク・スコーピオン

30点満点中18点=監4/話4/出4/芸3/技3

【あらすじ……彼らはなぜ、どこから来たのか?】
 世界12か所に、突如として楕円形の巨大物体が出現、空中に制止する。その正体と目的は何なのか? 各国で解析が急がれる中、大学で教鞭をとる言語学者ルイーズは米軍からの要請を受けて解明プロジェクトに参加、物理学者イアンらと飛行体内部へ入り、7本の脚を持つ巨体異星人に遭遇する。彼らの言語と文字を翻訳しようとするルイーズだったが、若くして亡くなった娘ハンナに関する記憶のフラッシュバックに悩まされるのだった。
(2016年 アメリカ)

★ややネタバレを含みます★

【内容について……あなたなら、どうする?】
 原作を読んでいるはずなんだが、忘却の彼方。それが良かった。“一発勝負のアイディア”とまではいわないまでも、予備知識なしで観るべき作品であることは確かだろう。
 SFとしての楽しさ=センス・オブ・ワンダーと、映画的な驚き=ミスリードを活用したストーリーテリングが融合して生み出される「!」。これは初見でこそ生きてくる。

 言語体系が違えば価値観(○○に対する概念)も違ってくる。という事実から空想の翼を広げて生み出された物語と、それを効果的に伝えるために採用された展開・構成。その双方に心を揺り動かされるわけだ。

 しかも着地点には「あなたなら、どうする?」という問いかけが込められている。そういう意味で、本作が果たす機能は『パッセンジャー』に近い。あちらは恋を始めたばかりの若いカップルに向けたクエスチョンだったが、こちらは、まだ恋の予感すら抱いていない人、恋を愛へと発展させた人、親という立場にいる人……、すべての人に運命論を突きつける。

 異星人たちの言い分は正しいのか、正しいとしても彼らの行動は本当に有効なのか、なぜ現代が選ばれたのか、わからないことは多い。けれどだからこそルイーズには「そうしない」という選択肢はなかったのだろう。
 他の選択肢を探そうにも情報は少なすぎる。反面、不確定要素(というか不明要素)は多すぎる。ただし、言語学者としての自分の存在意義はひとまず信じられる。自分が成し遂げたことに対する自負もある。そうした諸々をもとに、彼女は「どうする?」に対する答えを実行するのだ。

 あるいは彼女には「すべてが既定された未来」とわかってしまったのかも知れないけれど。

 本作を契機として『デッドゾーン』に『ターミネーター』に『マイノリティ・リポート』に『ウォンテッド』、さらには歴史の改変について、運命について、言語について……、と、誰かといろいろ話したくなる映画だ。

【作りについて……静かな重み】
 同監督の『プリズナーズ』は「たっぷりと芝居を捉えたり、重低音ともいうべきサントラで苦しげな空気を作り出したりなど『何をどう見せるか?』についてしっかりと考えられていて、1カットずつの密度を上げようという配慮が全編からうかがえる」作品だった。本作でも、その持ち味は健在。
 過去作と同様“静かな重み”とでも呼ぶべき空気感をまとっている。

 映画史上屈指のスケールを誇る物語でありながら、舞台は軍が設営したテント内と殺風景な接触スペースにほぼ限られ、回想に出てくるのも自宅の裏庭や病室などクローズドな空間がほとんど。その近くて狭い描きかたは、起こっているとんでもない事件がルイーズのパーソナルな出来事であるかのような錯覚も生み、観ている人の「私なら」という思考も呼ぶといえる。

 巨大飛行物体、通称ばかうけのデザインも、SF映画史に残る特異性を放っている。

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