X-MEN:アポカリプス
監督:ブライアン・シンガー
出演:ジェームズ・マカヴォイ/マイケル・ファスベンダー/ジェニファー・ローレンス/ニコラス・ホルト/ローズ・バーン/ソフィー・ターナー/タイ・シェリダン/オリヴィア・マン/コディ・スミット=マクフィー/エヴァン・ピーターズ/アレクサンドラ・シップ/ベン・ハーディ/ルーカス・ティル/ジョシュ・ヘルマン/トーマス・レマルキス/オスカー・アイザック/ヒュー・ジャックマン
30点満点中16点=監4/話2/出3/芸3/技4
【あらすじ……世界の破壊と再生が動き出す】
ミュータントの存在が社会に知られて10年。妻子とともに正体を隠して暮らすエリックを、ある悲劇が襲う。そんな彼の前に現れたのは、数千年前に誕生した史上初のミュータント=アポカリプスだ。アポカリプスが進める世界の破壊と再生に、マグニートーとして協力しようとするエリック。阻止すべく立ち上がったのは、プロフェッサーXことチャールズ、レイブン、ビースト、そしてチャールズの教え子である若きミュータントたちだった。
(2016年 アメリカ)
【内容について……ボスキャラの無駄遣い】
うーむ。『ファースト・ジェネレーション』と『フューチャー&パスト』のデキが良かっただけに期待したんだけれど、コレはちょっとなぁ。
エリックの苦悩を抉るように描き、彼が「すべてを賭して世界の改革へと突き進むマグニートー」という姿に傾いていく過程をきっちり提示したのは喜ぶべき点。また若いミュータントたちの個性もかなり発揮されている。多彩なキャラクターを疎かにせず、それぞれに見せ場を用意し、葛藤も描いたところは誠実だ。
X-MENたちの物語を再編し、穴埋めをし、ここから旧3部作へと戻る、その架け橋として新3部作をまっとうした点も褒めたい。
公開された作品を時系列順にまとめて出来事を整理したい、もう一度観たい、自分なりに咀嚼したいと思わせる(ひとまずの)完結ではあるだろう。
ただ、本作単独で考えると、その仕上がりはお粗末。
ちょっとお調子者感が強くなったチャールズに落胆。アポカリプスは、貫録とカリスマ性はあるものの、ラスボスとしての強大さに欠ける。中盤まで圧倒的な能力を感じさせながら、(もうひとりのラスボス=ジーン・グレイがいたとはいえ)意外にアッサリとコロリ。「とても敵わないぞ」「どうするんだよ」という絶望感を与えてくれないのだ。
なんだか、シリーズを通じての辻褄を合わせるためにアポカリプスを道具として無駄遣いしちゃった、というイメージ。それがストーリー面への不満につながっているのである。
【作りについて……役者の真剣さ】
相変わらず、オスカー級のマイケル・ファスベンダーやジェニファー・ローレンスが、こうした娯楽作で「キャラクターの実体化」を真剣になって完遂しているのが立派。単純な悪ではなく、実際の人間の歴史上で虐げられてきた人種や思想を反映させた存在としてミュータントを描いていることが、彼らを本気にさせるのだろう。
VFXは、さすがのスケール感。とりわけエリックが鉄骨をX字状に突き刺すカットには、身震いさせられる。
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