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2018/04/06

スター・ウォーズ エピソード8 最後のジェダイ

監督:ライアン・ジョンソン
出演:デイジー・リドリー/アダム・ドライヴァー/ジョン・ボイエガ/オスカー・アイザック/アンディ・サーキス/ルピタ・ニョンゴ/ドーナル・グリーソン/ローラ・ダーン/グウェンドリン・クリスティー/ケリー・マリー・トラン/ビリー・ロード/アマンダ・ローレンス/ジャスティン・セロー/アンソニー・ダニエルズ/ジミー・ヴィー/ヨーナス・スオタモ/ティム・ローズ/ワーウィック・デイヴィス/ベニチオ・デル・トロ/キャリー・フィッシャー/マーク・ハミル
声の出演:フランク・オズ/ジョセフ・ゴードン=レヴィット/トム・ケイン

30点満点中16点=監3/話2/出3/芸4/技4

【あらすじ……ジェダイの未来、フォースの行く先】
 帝国軍の残党ファースト・オーダーに襲撃されるレジスタンス。多大な犠牲を払って宇宙へ脱出したものの、カイロ・レンらは追撃の手を緩めない。逃げ延びる策を求めて、フィンはある惑星へと赴く。いっぽうレイはルーク・スカイウォーカーと接触。「ジェダイは滅びる」と協力を拒むルークだったが、やがてレイをフォースの覚醒へと導く。光と闇が対決する時が近づいていた。
(2017年 アメリカ)

★★★ネタバレを含みます★★★

【内容について……評価は保留】
 うーむ。期待して2年待ったけどハズレかも知れないなぁ。

 まずは良かった点から。
 序盤のドレッドノート撃墜シークエンスは重量感、スピード感、悲壮感などヒリヒリの詰まった場面。レイの修行、カジノ、フィンとファズマの対決も、このシリーズらしいユーモアと緊迫感に満ちている。ヨーダ登場やミレニアム・ファルコンの飛来を影で示すあたりは、ファン心理をくすぐる部分だ。

 そして、当シリーズを「共和国(ジェダイ)と帝国(シス)の対立からなる星間戦争を舞台としたスカイウォーカー家の興亡史」と捉える立場から見ると、それを成立させるための要素がギッシリと詰まっていて(そもそもこの第3シリーズのゴタゴタの発端はルークとベンの関係の“こじれ”であるわけだ)、これはもう紛れもなく『スター・ウォーズ』だといっていい内容だと思う。

 が、そうした満足ファクター以上に展開面の不満が大きい。
 レイアの復活は、さすがにやりすぎ。これに対してスノークはアッサリと死亡。ラスボス(級)の倒されかたとしては映画史に残るほどの拍子抜け。カイロ・レンはスノークの手のひらで踊らされていたはずだから、この逆転劇は無理目に感じる。
 レイの超絶覚醒とスノークの死亡を除いては、意外とお話が進んでいない(レジスタンスが逃げ延びただけ)のもモヤモヤが募る要因となっている。

 あと「それはいわない約束でしょ」とも思うのだけれど、やっぱりどうしてもカイロ・レン=アダム・ドライヴァーの魅力不足に言及せざるを得ない。ぬぼぉっとしてインテリジェンスが少なくて、なんかこう「こいつの運命を見届けてやるぞ」と決心させてくれないのだ。
 まぁジェダイの騎士としてもシスとしてもスカイウォーカーの血を継ぐ者としても不完全な存在、という意味では、この“どっちつかず感”は適役なのだろう。それにヘイデン・クリステンセンだってエピソード2から3にかけて驚くほどの変身を見せたので、まだ見限れないとも思う。

 ちなみにImdbと自分の評価は、かなり乖離している模様。
 ファントム・メナス……6.5 18点
 クローンの攻撃…………6.6 19点
 シスの復讐………………7.6 20点
 新たなる希望……………8.7 18点
 帝国の逆襲………………8.8 16点
 ジェダイの帰還…………8.4 17点
 フォースの覚醒…………8.0 18点
 最後のジェダイ…………7.5 16点

 世間では旧3部作が神格化され過ぎている点とアナキン3部作の評価がかなり低いことがわかる。ただ今回のエピソード8も手放しで讃えられているわけではなくって、現地でも「正史から除外させよう」という運動が起こっているのだとか。

 それは極端な話。こちらとしては「今回は“つなぎ”。まだ明かされていない謎も多く、完結を待ってあらためて評価しよう」と希望をつなげたい。

 だって、これまで僕ら(および作品内の人々)が考えていたフォースのありかた、ジェダイとシスの形が、間違っていた可能性も示唆されているのだから。ひょっとすると「光と闇の対立構図」「こちらが善、あちらが悪」ではなく、そのバランスこそが肝要なのではないか、と。
 「失敗から学びそれを後世に伝えるべき」と語るヨーダや「ジェダイやシスを超えた新しい時代」を作ろうとするカイロ・レンは、そのことを悟っているのかも知れない。だとしたら心強い限りだ。

 アナキン3部作が「ジェダイの限界を描いた物語」、ルーク3部作が「ジェダイに新しい時代と可能性をもたらす物語」であることは間違いないと思う。そのうえでエピソード7以降に期待していたのは「愛こそが最大のフォースという価値観を確立させる物語」だったわけだが、異なる方向へ疾走してくれるのも、むしろ歓迎だ。
 フォースとは、ジェダイとは、シスとは、何か。その(一応の)回答を提示してくれることを、また2年待つとしよう。

【作りについて……安定感と非安定感】
 前作『フォースの覚醒』から継続しているスタッフは、衣装のマイケル・カプラン、音響のマシュー・ウッド、SFXのクリス・コーボルド、VFXのベン・モリスとマイケル・マルホランド、スタントのロブ・インチ、ニコール・チャップマン、C.C. スミフといった面々。美術として『ワールド・エンド』などのリック・ハインリクスが加入しているが、全体としては『スター・ウォーズ』らしさがキープされていると感じる。立体的かつスピーディな絵作りとか世界観とか。

 それでもどこかに違和感を覚えてしまうのは、製作のラム・バーグマン、監督・脚本のライアン・ジョンソン、撮影のスティーヴ・イェドリン、編集のボブ・ダクセイという『LOOPER/ルーパー』組の色が出ているせいか。
 で、その『LOOPER/ルーパー』に自分は18点とまずまずの高評価を与えているのだけれど、感想を読み返してみてわれながら笑ってしまった。
「突っ込みどころや不満の多いストーリー」「下手にヒネったり要素を増やし過ぎたりすることなくすっきりまとめてみせた」「バリエーション豊かな画面で生み出す緩急、しっくりと馴染むBGM、説明過多に陥らない語り口など、全体に手堅い」「豪胆で雑だけれど、上々のエンターテインメント」。
 はい、今回もそのまんまです。成長しろよ、というか、この監督らしいというか。本質を見抜いていた数年前の自分を褒めてやりたいところだ。

 それと、ギャレス・エドワーズ、エドガー・ライト、ウィリアム王子&ヘンリー王子、トム・ハーディなどのカメオ出演(大半はカットされているようだが)には疑問と不満を抱いてしまう。そういう“甘え”“ちょっと度を越した面白がり”は、観客にシラケを起こさせたり、作品の格を下げてしまう原因となるから。

 デイジー・リドリーは相変わらず可愛く、レイというキャラクターを十二分に体現している。フィンのジョン・ボイエガ、ポーのオスカー・アイザックも、このシリーズに欠くべからざる存在となりつつある。これら主要キャラクター3名が健闘しているからこそ、なおさらアダム・ドライヴァーに“ノれない”ようにも思う。

 今回の3部作(シークエル・トリロジー)が完結した後、さらに3部作が作られる予定で、その製作における中心はライアン・ジョンソン監督が担うのだとか。ただし「スカイウォーカー家から離れた、新たな登場人物による新たな物語」になる模様。うん、まったく別個のものにしてくれるのなら、それはそれで楽しみだ。

 肝心のエピソード9は、ふたたびJ.J.エイブラムスがメガホンを取る予定とのこと。歓迎したい。

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