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2018/04/13

シェイプ・オブ・ウォーター

監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:サリー・ホーキンス/マイケル・シャノン/リチャード・ジェンキンス/マイケル・スタールバーグ/デヴィッド・ヒューレット/ニック・サーシー/ローレン・リー・スミス/オクタヴィア・スペンサー/ダグ・ジョーンズ

30点満点中18点=監4/話3/出4/芸4/技3

【あらすじ……彼を助け出すために】
 冷戦時代のアメリカ。独り暮らしで聾唖のイライザは、政府の秘密研究所で掃除婦として働いている。そこで出会い、心を通じ合わせた相手はアマゾンから連れてこられた人型の生き物だった。水中に棲む“彼”を研究主任ストリックランドが虐待するのを見かねたイライザは、同僚のゼルダや同じアパートに住むジャイルズらの協力を得て、なんとか“彼”を救い出そうとするのだが……。
(2017年 アメリカ)

【内容について……不寛容な社会に投じられた石】
 言葉を発することができない女性、水棲人間、ゲイ、移民、有色人種など、いわゆる“フツー”ではない人々が苦闘する姿を見せ、「じゃあ“フツー”って何?」「無理解の壁を作るものって、いったい何だろう?」と考えさせる映画。
 自分とは異なるものは排除する。そんな価値観が蔓延しつつある時代の反映として撮られたことは確かだろう。

 自分とは異なる価値観・存在を認めない人たち、さして説得力があるわけではない一般常識に拘泥する人たち、そうした人々が支配する社会。もし、そこで「わかりあえない」と感じたり、あるいは迫害されたり除け者にされたりする場合、解決策が「ここではないどこかで生きる」しかないとしたら、それは哀しいことなんだけれど、そうできるだけであるいはハッピーなのかも知れない。なんて考えさせられたりもする。

 そこにかなりの割合で“性”を絡めた意図を考えるのは、脳の体力も時間もないので、いまはパス。

 考えさせる、とは言っても、エンターテインメントとして仕上げられている。ただ同様の気配を持つダーク・ファンタジーとしては『パンズ・ラビリンス』のほうがずっと自分の好みだなぁ。

【作りについて……キャストたちの仕事ぶり】
 オスカー・ノミネートのサリー・ホーキンスは、なるほど適役で熱演。リチャード・ジェンキンスにも、こういう弾けた人物ができるんだと感心させられる。マイケル・シャノンとオクタヴィア・スペンサーは、いつもながらの安定感。

 ダグ・ジョーンズ(とかアンディ・サーキス)のような存在は、映画作りの歴史の中で当然のように生まれた重要なピースだと思う反面、ある意味では奇跡なんだろうなとも感じる。
 アカデミー賞授賞式で中島春雄氏(ゴジラのスーツ・アクター)が追悼されたことに対して、町山智浩氏がまさに「ダグ・ジョーンズやアンディ・サーキスの先駆けとしてハリウッドにも認められている」的なことを言っていたけれど、つまり、偉大なプロフェッショナルたちが綿々と自分の仕事をまっとうすることによって“中の人”という立ち位置が確立されたわけだ。
 そういう流れを後世に伝える機能を、本作と、水棲人の“彼”は持つ、といえるのかも知れない。

 暗くてシャープで、スケール感はないのに不思議な重さのある撮影、滑らかな語り口を作り出した編集、作品世界へと引き込む美術・衣装・音楽も特徴的。

撮影/ダン・ローストセン『サイレント・ヒル』
編集/シドニー・ウォリンスキー『エクスタント』
美術/ポール・オースタベリー『三銃士』
衣装/ルイス・セケイラ『キャリー』
音楽/アレクサンドル・デスプラ『GODZILLA ゴジラ』

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