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2018/06/07

第九軍団のワシ

監督:ケヴィン・マクドナルド
出演:チャニング・テイタム/ジェイミー・ベル/マーク・ストロング/タハール・ラヒム/デニス・オヘア/デイキン・マシューズ/ダグラス・ヘンシャール/ポール・リッター/ピップ・カーター/ネッド・デネヒー/アラダール・ラクロス/ベンス・ゲロ/ドナルド・サザーランド

30点満点中17点=監3/話2/出4/芸4/技4

【名誉を賭けた戦い、自由を懸けた旅】
 西暦120年、フラビウス率いる5000人のローマ兵が、名誉あるワシの紋章とともにブリタニア北方で姿を消した。20年後、百人隊長となったフラビウスの息子マーカスは蛮族を撃退し、家名の回復に成功。さらに、父が消えた事件の真相を知ることと紋章の奪回を望み、ローマに親兄弟を殺された奴隷エスカとともに北方へと向かう。旅の果てに彼らが見たものとは?
(2011年 イギリス/アメリカ/ハンガリー)

【意外と小さなお話を堅実に】
 しっかし、あらためてローマ帝国って巨大だったんだな。「ハドリアヌスの長城」が位置するのは、現代でいうイングランドとスコットランドとの境界線だとか。
 で、その先で消息を絶った5000人ものローマ兵の行方を探す物語。スケールとしてはデカいし、ハイランドのロケーションも壮大。たとえば「イギリス版アポカリプス・ナウ」みたいなキャッチフレーズだって似合いそうだ。

 なんだけれど、印象としては“小ぢんまり”という雰囲気もある。原因は、ローマ人が英語を喋る(北方蛮族はちゃんとスコットランド・ゲール語を話す)ことのほかに、歴史方面へ風呂敷を広げず、マーカスとエスカのプライベートなストーリーに落とし込んであるせいか。いや、それが悪いんじゃなくて、むしろ効いている感じ。

 敵の勢力範囲内へ侵入するローマ人と、敵中にいる唯一の異民族エスカとの信頼関係は、いわば、ねじれたバディ。ピリピリした距離感、偽りの裏切りと共闘、そして対等な関係へ……。それは見慣れた構図と展開だし、エスカの“自由に対する意志”も掘り下げ不足ではあるけれど、「このふたりの関係と行動を見ればいい映画なんだな」と素直に納得できる安定感はある。

 そのマーカスとエスカを演じたチャニング・テイタムとジェイミー・ベルが、別に“上手い”とは思わないが、それぞれの役にピタっとハマる。いや、チャニング・テイタムってローマ人ぽくはないんだけれど、クビの太さとかカンフー仕込みの動きとかがね。

 動きの良さ=アクションのキレも特徴だ。近接にこだわり、スローモーションに頼らずリアルタイム性を重視、編集も小気味いい。そこを音楽やSEで盛り上げる技も上々で、鼻息を意味のあるモノとして拾い上げるなど音響の仕事も立派。おかげで“肉体派”の剣戟として仕上がっている。

 演出的には、前フリのカットをちゃんと、でもさりげなく用意(砦の外周にタールを蒔く、兜の緒を締める)し、それを回収(火をつける、ローマ人としての証)するところが誠実。
 あと、サムズアップおよびサムズダウン(ブーイング)の由来を垣間見られた点も興味深かった。

 そんなこんなで、意外と小さな物語をしっかり手堅くまとめた、というイメージの仕上がり。

●主なスタッフ
脚本/ジェレミー・ブロック『すべては愛のために』
撮影/アンソニー・ドッド・マントル『127時間』
編集/ジャスティン・ライト『消されたヘッドライン』
美術/マイケル・カーリン『ラストキング・オブ・スコットランド』
衣装/マイケル・オコナー『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
ヘアメイク/グラハム・ジョンストン『アンノウン』
音楽/アトリ・オーヴァーソン『デビルクエスト』
音響/グレン・フリーマントル『ゼロ・グラビティ』
SFX/マイク・ケルト『キャプテン・アメリカ』
VFX/ジョン・ロックウッド『ロビン・フッド』
VFX/スティーヴ・ストリート『慰めの報酬』
スタント/ドモンコス・パルダニィ『ペイド・バック』

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