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2018/07/10

麒麟の翼 ~劇場版・新参者~

監督:土井裕泰
出演:阿部寛/新垣結衣/溝端淳平/松坂桃李/三浦貴大/田中麗奈/鶴見辰吾/松重豊/北見敏之/緋田康人/劇団ひとり/菅田将暉/山崎賢人/聖也/柄本時生/秋山菜津子/相築あきこ/竹富聖花/中村靖日/松澤一之/小泉深雪/菅原大吉/田中要次/志賀廣太郎/大石吾朗/黒木メイサ/向井理/山崎努/中井貴一

30点満点中16点=監3/話3/出4/芸3/技3

【残された想いを追って】
 大手メーカーの製造本部長・青柳武明が刺殺される。容疑者の八島冬樹は事故に遭って意識不明の重体。所轄の刑事・加賀恭一郎は本庁の松宮脩平と組んで、青柳の家族らと接触、事件の陰にあるものを追う。被害者はなぜ縁のない土地を歩き、刺されたまま助けも求めず日本橋“翼のある麒麟像”へ向かったのか? そこには数年前に起こった、ある不幸な出来事が重く深く関わっていた。
(2011年 日本)

【丁寧で味もあるが、マイナス面も】
 向井理を(申し訳程度に)登場させるなどTVシリーズとの連続性をキープしてあるわけだが、作りもTVサイズのまま。スケール感に乏しく、CMを挟みやすいようなブラックアウトがたびたびあるし、音楽も(テーマ曲は好きだけれど)気忙しい。
 ただ、野暮ったい間の悪さはなく、わかりやすさにも配慮し、回想を適時挟みながらストーリーを流していく。松宮の疾走シーンなど気合いの入った場面も観られて、丁寧な仕上がりではある。

 芝居も丁寧、というか、キッパリとして清々しい。各登場人物がその場、その感情にふさわしい表情を見せ、それをカメラもしっかり捉え、編集でもキチンと拾われつながれているというイメージ。
 もともと『眠りの森』あたりから加賀恭一郎シリーズを読むときには阿部寛を念頭に置いていたので、TVシリーズからのこの配役、個人的には嬉しい限り。

 溝端淳平の生真面目さ、新垣結衣の「こういう田舎っぽさの抜けていない役が似合うよね」感、見るからにいろいろ背負ってそうな中井貴一の苦渋、田中麗奈の上手さなど、他のキャストも申し分なし。ま、松坂桃李の高校生役ってのが「えっ?」と思ってしまうのと、劇団ひとりの登場(芸人が真面目な芝居をやることに異論はないが、ひとりの場合は普段からその真面目な芝居をネタにしているので、こういう役に起用すべきではないと思う)はマイナスだったけど。

 お話としては“まあまあ”といったところか。
 あちこち歩き回って苦労しているように見えて、実は都合よくいろんなことに気づいていて、あくまで結論ありきで進む展開。八島冬樹が「あんなこと」をしてしまった動機にも不自然さが残るし、せっかく松重豊がいい味を出しているんだから、彼と加賀との信頼関係も少しは盛り込んでもよかったのではないか。労災隠しについてもちゃんとフォローすべきだろう。

 ただ、単なる謎解きではなく、事件の解決とは何なのか、人が人へ想いを託すとはどういうことなのか、人の“死”と“死体”にどんな違いがあるのか……といった、本作のテーマにはしっかりと向き合っているし、頭で考えただけじゃなく、人の周囲に実在するさまざまな事象を吸収・整理して構成されている印象。日本橋界隈を舞台にする意味もちゃんとクリアしているといえる。

 そんなわけで、プラスもマイナスもある作品。

●主なスタッフ
撮影/山本英夫『ステキな金縛り』
編集/穗垣順之助『スマイル 聖夜の奇跡』
美術/金勝浩一『アフタースクール』
音楽/菅野祐悟『曲がれ!スプーン』

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