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2018/09/16

カメラを止めるな!

監督:上田慎一郎
出演:濱津隆之/しゅはまはるみ/秋山ゆずき/長屋和彰/細井学/市原洋/山崎俊太郎/真魚/大沢真一郎/竹原芳子/吉田美紀/山口友和/浅森咲希奈/合田純奈/藤村拓矢/生見司織/イワゴウサトシ/高橋恭子

30点満点中18点=監3/話4/出3/芸4/技4

【あらすじ……ゾンビ、映画撮影スタッフを襲う!】
 旧日本軍が極秘裏に実験をおこなっていたという廃墟で、小規模なクルーがゾンビ映画の撮影を進めていた。NGの連続にイライラを募らせる監督、とりなすメイキャップ、こっそりと関係を持っているらしい主演カップル、どこか気の抜けた技術スタッフたち……。そんな彼らを本物のゾンビが襲う。非常事態においても「カメラを止めるな!」と叫ぶ監督の真意は?
(2018年 日本)

★★ややネタバレを含みます★★
★★予備知識をいっさい入れずに見るべし★★

【内容について……映画ならではの面白さ】
 3幕仕立ての構成。第1幕でゾワゾワさせ、第2幕で「ああなるほど」とニヤニヤを与え、第3幕でカタルシスへと至る、という作りだ。

 ぶっちゃけ第1幕の中盤あたりでこの作品の構造的な仕掛けについてはおおよそ気づくことができる。また「映画撮影の現場を舞台とした叙述的なトリック」という点では我孫子武丸のミステリー小説『探偵映画』のほうがショッキングだったし、タイムスリップものを漁れば「あの時のあれは実は……」的伏線回収の名場面をいくつも見つけ出すことができる。

 だから本作、そう新鮮なものではないんだけれど、それでもやっぱり“楽しい映画”“快作”と呼ぶに吝かではない。

 映画という表現技法だからこそ可能な内容・構成。撮影の内幕を描くセルフパロディの精神。ロケーションの良さや編集を生かして映画ならではの面白さを醸成した点……。
 それらを上手くミックスし、笑いへと昇華させて、「映画である意味のある映画」、あるいは「映画作りを描いた映画の映画」というメタな構造の作品として、ちゃんと完成させているのがうれしい。

 ただ、構造的な仕掛けを知ったうえで見ると楽しさは半減しそう(もろもろ確認のための再鑑賞はアリだけれど)。
 予備知識をいっさい入れずに見るべき作品だ。

 何かと比較し、論評するとしたら、対象は『ラヂオの時間』とか『トロピック・サンダー』あたりだろうか。面倒なので、やんないけど。

【作りについて……安っぽさ上等】
 これ、もし潤沢な予算で撮られていたら、ここまで面白くならなかっただろう。有名俳優が起用され、画面作りのセンスも良く、もっとスマートな仕上がりだったら、逆に嘘や作りもの臭さが前面に出てきてしまうはず。

 あの第一幕の安っぽさ、グダグダ感が、ある意味で生命線。ここで「これだけ有名どころが出ているんだから、どうせ何か裏があるんでしょ」などと思わせず、「まあ三流・D級の映画って感じだよね」と溜息をつかせることが重要だった。
 第二幕以降も安っぽくてOK。四畳半的な雰囲気=観客との近さが、上手い具合に「こういうこと、ありそう」と素直に納得させるための力になっていたと思う。

 監督・脚本・編集の上田慎一郎は、やりたかったことをまっとうしている。撮影(曽根剛)も、グダグダ感を出しながらも捉えなきゃならないモノをしっかり捉えていて、アクシデントも多かっただろうに、よく頑張っている。
 あの場所を見つけてきたこと、ジョコジョコと鳴って胸の裏側を乱暴に撫で上げる音楽(永井カイル)、すべてを締めくくる山本真由美による主題歌「Keep Rolling 」など、パーツ1つ1つにも愛すべきものが転がっている。

 出演陣では日暮晴美役しゅはまはるみが出色。キャストの中ではほぼ唯一の「ちゃんと一般受けするお芝居で、かつクオリティも高い演技のできる人」。この作品の“重石”になっている。プロデューサー・笹原芳子役の竹原芳子の怪しさも素晴らしい。「いや、この『ONE CUT OF THE DEAD』は絶対に関わっちゃいけない企画でしょ」と一瞬で思わせてくれる。あと、眼鏡をかけた浅森咲希奈の可愛さね。

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