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2018/10/15

メリダとおそろしの森

監督:マーク・アンドリュース/ブレンダ・チャップマン
声の出演:ケリー・マクドナルド/ビリー・コノリー/エマ・トンプソン/ロビー・コルトレーン/ケヴィン・マクキッド/クレイグ・ファーガソン/サリー・キングホーン/エイリーズ・フレイザー/ペイジ・バーカー/スティーヴン・クリー/ジュリー・ウォルターズ

30点満点中16点=監3/話2/出3/芸4/技4

【運命を変えたいと願う王女】
 厳しい母エリノアにしつけられた王女メリダだが、馬でに野原を駆け、弓を射るのが大好きなやんちゃ娘に育っていた。彼女の意見も聞かず、婚姻話を進める母。王国の未来を守るため、3人の領主の第一子から婿を選ぶのがしきたりなのだ。そんな伝統を嫌って城から飛び出したメリダは、鬼火に導かれて森の中の小さな小屋を見つける。そこに住んでいた魔女に「自分の運命を変えてほしい」と頼むメリダだったが……。
(2012年 アメリカ アニメ)

【目指すべき先、映画の軸がない】
 メリダの赤い髪のフワフワ感は、なかなかのもの。画面の明暗も美しく、ややアンダー気味で整えられた露出は、舞台が海や川の近くであること=湿度を表現。多彩なアングルとサイズと動きからなるカメラは、バリエーション豊かでスピード感にもあふれるアクションを捉える。
 イギリス英語とアイリッシュ&ケルト風の音楽が“伝説が息づく世界”という舞台設定をしっかりと支え、驚きかたが母娘で同じだったり、3人のチビっこ王子だけが知る城の中の抜け道が展開に生かされていたり、ニヤリとさせる場面も楽しい。

 と、パーツは上々なのだけれど、どうも物語的な焦点が定まっていない感じがして、映画としての完成度には疑問符が付く。
 ディズニー伝統の“お姫様”モノ。家族内の確執と克服がテーマになっている点や、魔女が出てきてトラブルが巻き起こって……というのも、お馴染みの展開。そこはいいんだけれど、どうも軸が見えてこないのだ。

 人よりも、まず出来事ありきで作っちゃったからかなぁ。クマになっちゃった、という事件ばかりが前に出ている。本来このお話のコアは、メリダとエリノアの葛藤であるはず。そこが十分に描けていない。

 国を守るため犠牲に身を置くエリノア。運命に抗おうとして窮状を呼んでしまうメリダ。そうした辛さ切なさが滲み出て来ず、noblesse obligeの精神もほとんど無視。結果、「運命を受け入れる勇気」っていうえらいネガティヴなところで強引にまとめて、でもじゃあどんな風に生きていくのがエリノアやメリダにとっての正解であり幸せであるのかは投げっぱなし。エンディングに至っても何ぁんも解決していない気がする。

 そこで「みなさんはどう思いますか?」という問いかけへと収束させるのならわかるけれど、ドタバタに終始しているので、そういう余韻が感じられないのだ。

 思えば冒頭、風が吹いてるのに森の木々が揺れていないところから「確かに画面や動きはキレイだけれど、どこかでもっと大きな詰めの甘さが露顕しないか?」と不安になったのだが、それが的中してしまった印象。いや、詰めの甘さというより、そもそも論、どこを目指そうとしたのかが曖昧なせいで軸を作れなかった映画かも知れない。

 メイン監督のマーク・アンドリュースは『ワンマンバンド』の人。こちらに問題はないように思えるので、原案ブレンダ・チャップマン(『カールじいさんの空飛ぶ家』などの製作に携わっている)の、ストーリーのまとめのまずさが原因かな。

●主なスタッフ
脚本/マーク・アンドリュース『ジョン・カーター』
編集/ニコラス・C・スミス『恋する40days』
音楽/パトリック・ドイル『猿の惑星:創世記』
音響/グウェンドリン・イエーツ・ウィットル『オブリビオン』

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